仁丹の広告

広 告
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仁丹とは、森下仁丹の創業者、森下博によって開発され、明治38年に発売された総合保健薬である。最初、「赤大粒仁丹」として販売されていたが、昭和初期に現在の「銀粒仁丹」が開発された。 新聞広告を活用して、売り上げを大きく伸ばしていった。効能を前面に出した広告であったが、支那事変以降は、次第に軍事色が強くなり、時世に合わせた広告へと変化して行き、戦地への慰問品に好適であることをアピールしていた。 昭和16年9月には、献納広告を出すほど国策に協力するようになった。

陸軍大演習で大砲を扱う場面を描いた生々しいイラストであり、非常時の世相が伝わってくる。
仁丹は発売当初の赤大粒から、昭和2年に赤小粒が開発され、昭和4年現在と同じ銀粒が生れた。


内容
「大演習 元気な兵隊さんも仁丹で志気鼓舞 まして我々は一日も仁丹を手離してはならぬ
赤の小粒仁丹 貴薬サフラン倍加特製」
掲載:昭和9年11月 
衛生状態の悪い戦地へ送る慰問品には、膏薬、傷薬、胃腸薬などの薬も重宝された。 仁丹は、胃腸薬としてだけでなく疲労倦怠、頭痛などにも効く万能薬であったようだ。

内容
「夏の殺菌と消化に 慰問にこれから益々欠かせぬ
病原の殖える夏! 殊に消化不良に基づく障害激増 
仁丹を絶やさず朝夕食後数粒宛御活用になれば・口から入る病原を防除し・胃腸を強め、消化は旺盛 暑さに負けぬ溌剌たる体力を創る
頭痛に 暑さに増える頭痛めまい、体の疲労に 疲れ、倦怠など爽やかに一掃!
仁丹」
掲載:昭和16年6月 
同月に違うデザインの広告を打ってきた。食べ物が傷みやすい夏がかきいれ時なのであろう。 しかし、平成の現在、仁丹には余りお目にかかれなくなってしまった。

内容
「銃後の増健剤 慰問必需要薬
 
食欲を進め よく消化し よく吸収し 夏負けをふせぐ 仁丹」
掲載:昭和16年6月 
仁丹が体力に効くとは拡大解釈か。後段に時代を象徴する言葉が並ぶ。

内容
「〜 胃腸虚弱者は勿論 健康体にも欠かせぬ仁丹 常に心身に生気張り明るい活動力の源泉となる… 
今!戦線銃後の必携要薬 執務に 鍛錬に 慰問に」
掲載:昭和16年7月 
昭和16年7月7日、支那事変4周年を迎え、各地では多彩な記念行事が行われたが、仁丹でも将兵への感謝と合わせて、戦地の慰問品としての仁丹を訴えた広告を掲載した。

内容
「聖戦正に四周年 戦果赫々 中原を攘う 純忠勇武の皇軍将士に限りなき感謝の誠を捧げ 戦陣薬として仁丹の絶えざる御愛用の栄を賜わり伏して鳴謝し奉る………… 愈々酷暑の戦地へ 胃腸障害を防ぎ心身疲労回復の仁丹のご慰問を時々御送り下さい
口渇に 胃腸に 疲労に 仁丹」
掲載:昭和16年7月 
海の護りの象徴である戦艦のイラストを使うことによって、胃腸の護りを強調している。

内容
「〜 酷暑の此頃! 腐敗が早く食物がスグ悪くなる 凡ゆる病原菌の繁殖が著しい… 胃腸障害が一番多い時期でもある 安全な備えは仁丹の常用に優るものなし〜
戦地で特にお待ちかねです慰問の度に送りましょう〜
掲載:昭和16年7月 
時世に順応している広告であり。慰問のことは欠かさず告知している。

内容
「きょう 興亜奉公日  今月の指標 生活正義の確立 大時局超克の盤石の固めは隣保協力まづ正しい暮らし方の実践敢行 この日の出発を 八月一日午後八時ヨリ 全国一斉に隣保常会 〜 慰問に 兵隊さんに一ばん御喜び頂く仁丹!御忘れなきよう慰問の度に必ず… 〜
掲載:昭和16年8月 
仁丹とは、どうやら夏がかきいれどきらしい。

内容
「涼味(すずしさ)万斛(かぎりなし) 暑さの今…  何にも優る仁丹の効果!絶えず健康を護る 時局化のワ夏薬 〜 銃後にも戦線にも 涼味と増健の仁丹! 酷暑の必携薬 〜
掲載:昭和16年8月 
この頃の広告は、勤労報国の精神で満ち溢れている。働け働けである。

内容
「明るく働ける! 時局勿忙! 火の玉の様に真剣な活動が要請される 併し気分は常に飽く迄明るく朗らかに……
それには仁丹に優るものなし 時々数粒宛活用すれば 疲れ鈍った頭も軽く理解力や思考力も生き生き恢復し 体の疲れも倦怠も消して 仕事に対する新しい気力が湧く 活動力振起の必携薬 頭痛と疲労に 仁丹
掲載:昭和16年8月 
南洋を走る巡洋艦らしき艦影。南洋委任統治領のイメージを利用して夏をアピールしている。

内容
「暑さの疲れを爽やかに消す 仁丹数粒! 
疲れた体に英気を注ぎ常に清新の気分を保つ 更に仁丹は 食欲を進めて何でも美味く 消化を助けて 凡てが身につく 仁丹の御常用は健康の源泉!
戦地で一番お力になる陣中要薬!慰問袋や手紙の度に必ず同封―」
掲載:昭和16年8月 
昭和16年9月1日付け広告。関東大震災18年と、興亜奉公日2周年の記念ということで出された献納広告である。日中戦争の泥沼化で日本は既に耐乏生活に突入しており、生活要塞ということばで日常生活の闘いに打勝つことを求めている。

内容
「帝都大震満十八年に方る きょう興亜奉公日 第二周年 
生活戦陣営の強化へ 今ぞ千仭の巌頭に立つ広古の超時局 近代戦は正に之れ生活力のみの闘い! 一、衣食住の単純化こそ「生活戦態勢」の絶対単位 二、節米を本位の戦時食糧貯充には衆智の工夫を 三、家庭資材の戦時的活用への協力も等しく 上述の生命は「生活の集団化」「協同化」に依りて全し 即ち隣保組織の徹底効果に俟つのみ  固めよう一億一心の生活要塞を
献納広告 森下仁丹株式会社 社長〜」
掲載:昭和16年9月 
健康報国、体力維持に仁丹をという趣旨である。

内容
「夏場弱った胃腸を力づける 腹を整え 消化力と吸収力を増強して 今―食進む秋 体力蓄積に努めましょう〜 
慰問に一番喜ぶ 便りの度に御送り下さい」
掲載:昭和16年9月 
季節に合わせたコピーを繰り出してくるが、最後は国策に沿って締めている。

内容
「秋口の胃腸に新しい力を!〜 秋の恵みを存分に身につけ体力を充実させます 勿忙な時局下倍働ける 身の護りとして必携薬 〜 」
掲載:昭和16年9月 
国策に沿ったとは、元気に働いてもらうための体力維持、増進である。

内容
「時候変りの胃腸に 〜 漸次!体力充実へ導く効果著し 臨戦態勢下の秋の必携要薬 頭明るく胸爽やかにいつも生気颯爽と働く体力は常時連用の仁丹から〜」
掲載:昭和16年9月 
仁丹が体力の増進に効くとは今では考えられないが…

内容
「体力蓄積の秋 逞しい体力のみがこの動乱の時局を乗り切る基礎である! 〜 めきめき体力の充実へ導く!一番便利な時局下の必携薬 〜」
掲載:昭和16年9月 
労苦を耐え忍ばなければ勝利はない、これが昭和20年まで続くのである。

内容
「生活力は強い胃腸から 戦いを決するものは結局国民の生活力! 必勝の信念固く粗食に堪え激務に疲れず ぐんぐん押し切ってゆくには常に体力の充実がもとであり強い胃腸が必要である 朝夕毎食後数粒仁丹を続けて頂けば 〜  見違える程栄養が身につき腹具合よく健康が高められ 底力のある戦時体力向上へ導かれます 〜」
掲載:昭和16年9月 
救急袋の中身は現代と同じようである。薬に照明、食料などであるが、面白いのは鰹節。また、仁丹が外傷にも効くとは驚きである。

内容
「空襲にも備えて 救急袋を戸毎に必ず!!
強ち空襲には限らず非常の備えに救急袋を此際スグ
其の内容は かさ低くな薬品や包帯など、ローソク、マッチ、タオルは勿論、焼米、乾飯、鰹節の如き食糧等々 重宝な仁丹はゼヒ!
頭痛 腹痛・口渇を防ぐ 疲労・息切れによく 生気をもり返す救急要薬 外傷 火傷、擦り傷等等にはよく砕いて御試し下さい、〜」
掲載:昭和16年10月 
仁丹の効能は、消化促進であるが、そこから派生効果が種々生れることになる。護身薬という言葉まで出てきている。時節柄、銃を構える兵隊さんも登場し、強い体創りを強調している。

内容
「消化から強健体を創る
仁丹の愛用で消化を促進し 食中り・胸やけ 腹痛・下痢等を快よく一掃して 精気漲る健康体を得る
食後に欠かせぬ護身薬  万人必携 常備救急」
掲載:昭和16年10月 
抵抗力のイメージとしてガスマスクを使っているのが時代である。

内容
「抵抗力つくる!胃腸強壮薬  〜 今 食傷・胸やけ 下痢・腹痛の危機 戦地で役立つ陣中薬 慰問の度に忘れず同封」
掲載:昭和16年10月 
厚生薬といい増健薬といい当時の仁丹は健康になるための万能薬の趣である。

内容
「胃腸強化の厚生薬  仁丹の御常用で〜  胃腸の強化から創り上げた真の健康体を得る 銃後の万人が必須の増健薬」
掲載:昭和16年10月 
様々な工夫で宣伝文句を並べるが、最後は慰問で締めるのがお決まり。

内容
「過労を防ぐ厚生薬 疲れが重なると… 健康が崩れる 疲れたら何と言っても仁丹! 〜 多忙な時局下手離せぬ活動源 〜 慰問 戦地で一番お喜びの重宝な仁丹 便り度に必ず!」
掲載:昭和16年10月 
毎月一日の興亜奉公日に合わせた広告。仁丹につながる論理展開が見事である。

内容
「興亜奉公日 生活能率を高めよう
此秋・大時局撃破への逞しい構えは更に日常生活の中から、新しい「労力と時間」を生み出し お国の為に役立たせるが焦眉の急務…
一、隣保協力、凡ゆる無駄を省き 二、生活は単純に、力強く再編成 三、臨戦段階へ更に総力の結集を
 心身の疲労を去り 新しい活動力を振起し 胃腸を強め持久的体力を創る 必携薬仁丹」
掲載:昭和16年11月 
全国体育週間とは11月3日の明治節(今の文化の日)前後の展に設定されたもので、学校で体育行事が行われた。この体育週間と仁丹をつなげ、体力錬成には仁丹の連用とPRしている。

内容
「鍛えよ 戦時体力を
全国体育週間
秋天の下颯爽の体育鍛錬と共に体力錬成の鍵は仁丹の御連用!
消化吸収を促進して栄養が身につき 心身過労を消して生気充溢
 胃腸に 腹痛に 頭痛に 疲労に 消化と毒消けし 仁丹」
掲載:昭和16年11月 
毎月一日の興亜奉公日に合わせた広告。国民の戦意高揚に大きく役立っているのであろう。飛行船のイラストも面白い。

内容
「きょう興亜奉公日 一億鉄火の前進のみ
国土に脈打つ決戦態勢!今ぞ隣保更に結び 生活を通じて奉公の誠を捧げ赫燿たる世紀の暁明を迎えよう 森下仁丹株式会社
明るく強く生気が湧く戦線に銃後に救急と護身の必携薬」
掲載:昭和16年12月 
銃剣道のイラストは活を入れるを表しているのであろう。

内容
「消化機能に活!
仁丹の常用は胃腸の働きをグンと活発にし 食物常にうまく 充分消化吸収し 豊かに栄養を充実して体位漸次向上
 消化促進 頭痛消退 疲労恢復
慰問薬として一番お喜びの仁丹…お便りの度に必ず!
家庭に 職場に 消化と毒けし 仁丹」
掲載:昭和16年12月 
常備薬ではなく、常持薬とはいつも持ち歩くという意味か。国民薬の貫禄である。

内容
「健康躍進の常持薬!
仁丹の生命は虚弱者は勿論 無病者の持薬として 絶えず胃腸の機能を是正し栄養を昂め 健康更に躍動…心身を爽やかに鼓舞する!
胃腸に 腹痛に 頭痛に 疲労に
慰問第一品! 家庭に 職場に」
掲載:昭和16年12月 
昭和16年12月18及び22日付け広告。12月8日の米英宣戦布告を受けての広告である。緒戦の勝ち戦に国民全体が浸り、一方、勝って兜の緒を締めよ的な論調も多く、国民一丸戦争遂行の決意を新たにすべく、この様なスローガンが使われた。また、いずれも曲が付けられレコード化されていたようである。

内容
「大政翼賛会撰定標語  屠れ!米英我等の敵だ   進め一億火の玉だ! 
神国日本の興亡をかけ世紀の鉄槌断固と下る護国一億決戦生活は左掲に 森下仁丹本舗主
戦時生活五訓 大政翼賛会制定 第一、強くあれ、日本は国運を賭して居る、沈着冷静職場を守れ 第二、流言に迷うな、何事も当局の指示に従って行動せよ 第三、不要の預金引出し買溜めは国家への反逆と知れ 第四、防空、防火は隣組の協力で死守せよ 第五、花々しい戦果に酔うことなく この重大決戦を最後まで頑張れ
   銃後保健に 前線慰問に 戦時必需薬」
掲載:昭和16年12月 
効能に「倦怠」が追加されたようだが…、時代の緊張感を感じてしまう。

内容
「健康体への連用効果
無病の人にも日課として 毎食後仁丹数粒宛て 消化吸収グンと進み栄養向上!めきめき体力を増し 若々しい活動力が心身に満ち溢れる
戦地でも 一番お喜びの仁丹 慰問の袋に必ず!
胃腸の護りに 疲労の恢復に 救急の予防に 最適   胃弱に 腹痛に 頭痛に 倦怠に 
消化と毒けし 仁丹」
掲載:昭和16年12月 
偽物が出回るほど人気の商品であったことが伺われる。

内容
「ヒドイ類似品を仁丹と称して売って居るから この商標にお気をつけ下さい
仁丹に配せる阿仙の強い収斂性は腸壁を補正し腸疾患に著効 サフランは健胃・鎮静・補精に良く 其他和漢貴薬十余種を配剤しその複合効果で効率を昂める仁丹 
これから 薬腹を護り健康を増す持薬として仁丹が最適です 
冬の胃腸に 慰問にも」
掲載:昭和16年12月 
正月飾りに戦闘機というイラストはまさに戦時下のお正月を表している。新年早々、仁丹服んで大東亜戦争に勝とうという力強いメッセージである。

内容
「大東亜戦争完勝へ
凛と兜の緒を締めて愈々重大なこの歳へ必勝一億皆な戦士
挺身敢闘 職場を護ろう 体力は国力 仁丹常用で 胃腸は強く消化吸収が進み 疲労頭痛を去り生気が湧き 漸次体力を増し旺盛な活動力がつく 胃腸に頭痛に食傷に」
掲載:昭和17年1月 
航空母艦と甲板から発艦する攻撃機のイラストを真ん中に据えた勇ましい広告である。真珠湾攻撃の様子を表しているのであろうか。この空母は飛行甲板が三段式空母の姿であるので、「赤城」か「加賀」と推測されるが、掲載された昭和17年初頭には既に一段全通式空母に改装されて数年が経過している。改装後の姿は秘密保持の関係で一般には知られていなかったのであろう。

内容
「大東亜決戦へ 無敵銃後の仁丹 消化と毒けし
しっかり兜の緒を締めて今ぞ一億皆戦士 断固 挺身!職域へ 強い体が必勝の基礎  絶えず仁丹の活用で 胃腸は強く消化吸収力進み体力をつけ 疲労や頭痛はスグ一掃常に生気爽やかに 心身に共旺盛な活力を振起する  家庭に工場に街頭に田園に
慰問に 兵隊さんの胃腸を護り咽喉を潤し疲れを防ぐ陸にも海にも要る 仁丹!   頭痛に疲労に胃腸に胃痛に腹痛に下痢に」
掲載:昭和17年1月 
仁丹の効能は今と違って胃腸の不調全般に効く様であり、携帯にも便利であるため、慰問品として人気であったのであろう。
現行仁丹の効能:気分不快、口臭、二日酔い、宿酔、胸つかえ、悪心嘔吐、溜飲、めまい、暑気あたり、乗物酔い。


内容
「消化を進める仁丹
毎食後 仁丹で消化を補いつゝ胃腸を強く改造 食傷・胸やけ 冷え腹・下痢 等は数粒で快よく一掃
戦地へ 慰問の度にゼヒ同封― 兵隊さんの胃腸を護り疲れを払う 御待望の戦陣薬」
掲載:昭和17年1月 
銃前には戦地の慰問、銃後には職場でと、並列でその効果をアピールしている。 銃後は工場で働く工員のイラスト、銃前は小さくて見にくいが、その機影から九五式水上偵察機のイラストが用いられている。大々的に兵器のイラストを使わないのはやはり軍事機密であり防諜の一環であろうか。

内容
「銃前…銃後に
戦地で 何物にも優る携帯薬として 胃腸強化 口渇予防 疲労恢復 に仁丹 絶えず!慰問に
職場の 心身疲労を去り 明朗旺盛な 活動力と持久力を保つ! 仁丹
その成分 健胃補精浄血に効くサフラン、収斂性に依り整腸効果の強き阿仙薬 其他和漢貴薬十余種の誇る可き配剤にて類似品の及ぶ所に非ず」
掲載:昭和17年1月 
イラストは、ラッパ兵に発艦する戦闘機と空母。戦艦ではなく空母を使っているところから、空母力が一般にも認識されていることが見て取れる。

内容
「皇軍将士に感謝の誠を
東亜の宿敵必殺へ 一度起つや半球の地図を塗り替う!偉大なる皇軍に無限の感謝を捧げ 更に彌々武運の長久を祷り 銃後一丸 火線に闘う烈しさに 持場を護って 固苦に耐えて 凜乎堂々邁進せん 森下仁丹本舗
慰問の第一品 疲労に 口渇に 胃腸に お便りの度に必ず仁丹」
掲載:昭和17年2月 
先週の広告と同様の趣旨を、言い回しを変えて掲載している。イラストは、爆撃機に軍艦の雄姿である。

内容
「偉大なる皇軍将士に 感謝の熱誠を捧げよう
東亜の宿敵撃滅へ 一度起つや半球の地図を塗り替う 燦たる皇軍に限りなき感謝を捧げ 銃後一丸 砲火を衝く 意気と決意に 持場を固め 凜乎不動 聖業の完遂へ 仁丹本舗主 森下博 謹白
慰問薬として前線に最も重宝せられ 保健薬として銃後の職場に家庭に新しい活力の源となる 必携薬仁丹 胃腸に 頭痛に 疲労に」
掲載:昭和17年2月 
2月11日付けの広告。紀元節とは、神武天皇の即位の日で、今の建国記念日にあたる。 文章中の肇国(ちょうこく)とは、建国の意味である。

内容
「祝 紀元節
畏し 肇国大精神の下 捷って捷ちぬく斯の聖戦 御稜威の皇軍に 感謝限り無く 銃後一丸 国路に 挺身せん 森下仁丹本舗
家庭に 職場に 前線に」
掲載:昭和17年2月 
昭和17年2月15日のシンガポール陥落を祝した広告、英領であったシンガポール攻略は、太平洋戦争の緒戦のマレー作戦の最終目標であった。
この日、神奈川県内は歓喜湧きかえり、「よくやってくれた、おめでとう、おめでとう」の合言葉が舞い、県下各市町村では、祝賀行事が行われた。


内容
「祝 シンガポール陥落
勝鬨は世紀を震撼させて シンガポール遂に潰ゆ 東亜侵略の大要衝を屠る 燦たり 神速皇軍 鴻図愈々新段階 銃後一丸 更に凛乎国路を往かん  森下仁丹本舗  銃後に 戦線に」
掲載:昭和17年2月 
歓喜のシンガポール陥落から一転、戦時下の日常に舞い戻った広告。 仁丹の効能がすごいことになっている。粗食とは、御飯にお新香にお茶のみということのようである。

内容
「斯くして 粗食も栄養ノ
仁丹で腹を整え 消化を進め なんでも美味しく すべてを栄養化
胃腸に 食傷に 腹痛に 朝夕 食後に 欠かせぬ 増健薬」
掲載:昭和17年2月 
働け、働けの国策広告である。しかも、「倍頑張ろう」という労働強化広告となっている。戦争とは、当然ながら銃後も戦いなのである。

内容
「不敗の国民 皆労体制
仁丹で気分を明るく 疲労を消して いつも活き活き 倍頑張ろう
職場に 家庭に 勤労に
消化と毒消し 仁丹」
掲載:昭和17年2月 
満州国設立から早10年。これを記念した広告である。中央に翻るのは満洲国旗である。

内容
「祝 満洲建国十周年
必勝の銃後に前線に 疲労を防ぎ胃腸を護る 厚生要薬 仁丹」
掲載:昭和17年3月 
大詔奉戴日とは、昭和16年12月8日の開戦日に宣戦の詔勅が公布されたことに因んで毎月8日に設定された。この日は、詔書奉読、必勝祈願、国旗掲揚、職域奉公、その他大政翼賛会の決定事項伝達などを行うことで戦意高揚を図った。昭和17年1月8日から開始され、これ伴い毎月1日の興亜奉公日は廃止された。

内容
「きょう 大詔奉戴日
開戦以来の護国の散華に限無き感謝を捧げ 皇軍神兵の武運無窮を祈念し 雄渾壮絶なる大業翼賛の爲凡る困苦を笑って進もう 森下仁丹本舗
爽快な 疲労恢復 強力な 胃腸整備 銃後保健 戦線慰問 に御愛用頂く 厚生薬仁丹」
掲載:昭和17年3月 
一転、家庭常備薬の広告である。

内容
「3月 毎日の健康
職場に 家庭に 学校に 一番効果的な仁丹連用! 胃と腸を強くし消化と栄養を高率にし 絶えず心身の疲労を除去し清新な活力を振起 これから 職場に戦地に一番賞讃される護身薬
胃腸に 頭痛に 仁丹」
掲載:昭和17年3月 
今の仁丹からは想像できない効能である。

内容
「高度栄養補給
それには…強力な胃腸をつくる 仁丹連用が最適 消化組織と機能を強化調整し 食物何でも美味しく消化吸収を完全にし次第に体力を充溢す 銃後の体力の確保には仁丹!
家庭に 職場に 戦地に 疲労を去り 心身に生気を鼓舞する 護身要薬
消化と毒消し 仁丹」
掲載:昭和17年3月 
鉄桶(てっとう)とは、 団結・防備などが堅くて、少しもすきがないことのたとえであり、この頃、鉄壁な防空体制などをあらわすのに良く使われていた言葉である。なお、イラストの子どもが持っているものは、仁丹である。

内容
「皆労の健康陣
鉄桶の銃後に厚生薬仁丹
勝ちぬく皇軍に応えて皆労の職場に 家庭に 疲労防止 常に清新溌剌の気力と持久的体力をつけ 胃腸強化 粗食も良く消化吸収し漸次栄養を充実する 仁丹のんで漲る活気を揺るがぬ健康創って頑張ろう!
頭痛に 眩暈に 胃腸に 慰問品第一品 仁丹」
掲載:昭和17年3月 
今回は、皆労や戦地・慰問等の言葉がなく、家庭用薬としての仁丹の広告となっている。

内容
「病禍一掃
毎日日課として仁丹連用は 口中を殺菌し経口的病原を防ぐ 胃腸を強盛にして 栄養…次第に充実 疲労を溜めず 心身常に晴朗!
頭痛に 疲労に 眩暈に 胃腸に 食傷に 腹痛に 厚生要薬 仁丹」
掲載:昭和17年3月 
森下仁丹本舗は、昭和17年3月期にはなんと、7回、つまり週1回以上新聞広告を掲載している。しかも毎回異なったデザイン・内容であり、当時としては広告に非常に力を入れていたことがわかる。

内容
「国民の厚生薬
万人が身につけて 救護と増健に一番優れた効果の仁丹 胃腸を強力にし消化作用を進め栄養完全 疲労頭痛を消し常に生々の活気充満
外出に 〜 胃弱に 腹痛に 頭痛に 疲労に」
掲載:昭和17年3月 
昭和17年新年度最初の広告は、子供向けである。仁丹が救護薬とは今のイメージからは考えられないが…。

内容
「新学期 お子達のポケットに 救護薬仁丹を!
これから兎角多い胃腸の障りを防ぎ頭や体の疲れを消す 仁丹こそ幼い心身を安全に護る必携薬
胃腸に 腹痛に 頭痛に 疲労に 仁丹」
掲載:昭和17年4月 
第四回大詔奉戴日 昭和17年4月8日付けである。つまり第一回は1月8日であった。国威顕彰、戦意昂揚を図る日である。

内容
「第四回 大詔奉戴日
この役 国運を一挙に賭す 神州の精鋭に応え銃後寸毫の緩みなく天孫民族の大使命に突撃せん 森下仁丹本舗
銃後厚生 前線慰問 必需要薬
胃腸に 頭痛に 疲労に 仁丹」
掲載:昭和17年4月 
相変わらず戦意高揚、勤労報国に乗じた販売戦略、絶好調である。

内容
「突撃する銃後
増産に 職場に 生気を漲らす 仁丹のんで
不断!疲れを一掃し 頭軽く爽かに 清新の力湧き 胃腸をととのえ持久体力の源 必勝不敗の銃後活動に仁丹
体力と気力に 頭痛に 疲労に 胃腸に 国民の厚生薬 仁丹」
掲載:昭和17年4月 
全く 仁丹の効能は素晴らしいものがある。銃後に必須の薬である。

内容
「春だ! 職場だ 増産だ
心身疲労を払拭し 湧立つ生気と 活動的体力を ぐんぐん充実する 厚生要薬 仁丹
愈々戦地で仁丹の要る季節 頭痛に 疲労に 胃腸に 食傷に 消化と毒けし 仁丹
持久体力を」
掲載:昭和17年4月 
仁丹の効能を分り易く箇条書きレイアウトで構成。

内容
「疲れを払拭し 漲る様に沸上る気力体力 過労予防に仁丹!職場に 戦地に
胃腸の…障りを一掃して消化増強 栄養を確かり保つ 仁丹
健康な人にも 救急と増健に 何物にも優る効果をもつ 厚生薬
頭痛に 疲労に 胃弱に 腹痛に 仁丹」
掲載:昭和17年4月 
仁丹の清涼感を全面に押し出したコピーである。

内容
「疲れや 不快 スグ 明朗
仁丹数粒! 爽かに、過労や頭痛を撃退し 頭も体も 生気颯々
劇しい職場に 戦地慰問に 今 一番重宝され何物にも優れた 厚生要薬
仁丹」
掲載:昭和17年4月 
前回の清涼感と打って変わって、万能薬 仁丹。今度は護身剤である。

内容
「戦時活動に新しい力を 
不断 仁丹を召すが一番! 強い消化作用は 総て剰さず栄養化 体力確保に最適・・ しかも 心身疲労去り 頭痛息切れせず 新しい活力を盛り返す 護身剤
職場に 家庭に 戦地に 胃弱に 腹痛に 頭痛に 疲労に 
消化と毒けし 仁丹」
掲載:昭和17年4月 
胃腸を強化する効能があることを徹底的にアピールしている。イラストの台所は、西洋風台所だが、一般国民はイメージできているのだろうか。

内容
「戦時食生活
何でも消化し栄養化する 強い胃、強い腸をつくる仁丹!
・食傷や腹痛 ・消化不良に ・栄養欠如に 必ず効果表われ 心身活力の源となる 
仁丹」
掲載:昭和17年4月 
南方への戦果拡大に伴って、仁丹も世界進出。インドにも勢力を拡大しようとしている。大東亜の厚生薬と言えるほど国際的な薬となったのであろうか。

内容
「南方圏とじんたん
正に三十年前 ジャバ島スマランに支店を置き将た印度に雄飛せし仁丹は  今皇軍の大戦果に深大の感激を捧げ 愈々南方厚生の使命達成へ
殺菌に 胃腸に 疲労に 頭痛に 口渇に 職場に 戦地に 大東亜の厚生薬
仁丹」
掲載:昭和17年4月 
仁丹は月に数回広告を掲載しているが、毎回内容を変更している。キャッチコピーを考えるのも至難だと思われるが、誇大?さが増していくようである。

内容
「絶えず病原を防ぐ 鍛錬に 職場に 欠かせぬ仁丹
これから仁丹常用は 口から浸入する病原を防除し 独自な毒消しと整腸の力は 腹の故障を快く一掃する
胃弱に 腹痛に 食傷に 下痢に 戦地にも銃後にも 護身要薬」
掲載:昭和17年4月 
食欲の秋をイメージするイラストは、戦時であることを忘れさせる。黒くつぶれている木材?には「実りの秋」「賑わう食物」と書かれている。

内容
「秋の胃腸に  慰問要薬
栄養がムダ無く身につく仁丹の連用 仁丹は胃腸壁を浄化収斂しその機能を昂め、消化吸収を著しく促進し、漸次栄養を増進します
とかく多い胃腸障碍にも何より仁丹が一番 仁丹は胃腸内の異常発酵、自家中毒、腹痛下痢を防ぎ有害菌や毒物を滅除します
胃弱に 腹痛に 頭痛に 疲労に 消化と毒消し 仁丹」
掲載:昭和17年10月 
24時制は、時間を間違えにくいことから、軍事時間とも言われるが、戦時中ならではの制度改正である。また、仁丹とは無関係であり、献納広告の一種であろう。

内容
「一日中役立つ護身薬
毎食後きめて数粒宛の仁丹は 消化と吸収を促進 胃腸障碍を防ぎ栄養を倍増 殊に心身の疲労や頭痛、不快等 迅速に除去
仁丹   胃腸に 頭痛に 疲労に
二十四時制 十月十一日より実施 早く慣れましょう 便利な二十四時制」
掲載:昭和17年10月 
とにかく体力が求められた時代、体力を表すとして、体操のイラストが用いられている。海軍体操であろうか。

内容
「勝ちぬく体力
職場に 家庭に 鍛錬に 仁丹あり― 
・頭脳明晰 ・胃腸強化 ・疲労恢復 一億必携の厚生要薬
火花の出る様な時局活動に 心身生気の源は! 仁丹」
掲載:昭和17年10月 
火ばたきを手にした婦人。防空訓練であろう。戦場も銃後も体力勝負の時代である。「倍働く」や「粗食」の言葉が並び、当時の社会情勢が伺える。

内容
「決戦下の体力
倍働いても疲れない 逞しい体力をつくるためには! 毎日仁丹常用で 胃腸の組織機能を強化調整 時局下の粗食でも 美味く良く消化吸収され日常継続的に栄養の蓄積される 特にこれから冷え込みの胃腸障害に欠かせぬ 仁丹
頭脳には…ヅキヅキ頭のいたむ時 疲れて重く鈍った時 思考や記憶力の弱った時 スグ爽やかに恢復 新鮮な気分が漲る 今こそ家庭に職場に 厚生と救急必携の仁丹
戦線で 口渇を潤し 胃腸を護り 悪疫をふせぎ 疲れを去る 護身要薬  胃痛に 腹痛に 疲労に 頭痛に 慰問に
慰問に 手紙の中にも同封できます 消化と毒消し 仁丹」
掲載:昭和17年10月 
ここのところ、栄養という言葉が盛んに用いられているが、それだけ栄養状態が悪かったことが推測される。羽釜のイラストが可愛らしい。

内容
「栄養満点 粗食も活かす 仁丹常用
新しい力が胃腸につき 何んな物でも良く消化し ぐんぐん吸収を助長し 張り切った健康を創る 時局下の厚生要薬
戦地でも 特にお待ちの仁丹! 胃腸に 頭痛に 疲労に」
掲載:昭和17年10月 
季節に合わせて稲刈りのイラストであるが、これもまた、コピーに似合わず、戦時中を忘れさせるような、ほのぼのした感じである。

内容
「決戦下の体力
何んな食物でも完全消化で ムダなく身につけて 体位の向上を図る事 頭や体の疲れを蓄めず生気を保つ事 共に仁丹が最適
胃腸に 頭痛に 疲労に  消化と毒消し  仁丹」
掲載:昭和17年10月 
厚生要薬、救急・保健要薬、護身必携薬の豪華3本立て広告。

内容
「増産だ 体力だ 必勝日本の職場に欠かせぬ仁丹 絶えず生々した元気を養う 厚生要薬
その薬能は! 仁丹は高貴薬相互の複合効果的配剤にて、阿仙の収斂性、メンタの消炎と昂奮性、サフランの補血並に補精の薬力を高率に発揮させ、救急、保健要薬として完璧を期せられて居ます
仁丹の連用は目に見えて! 食欲進み 食物美味 消化満点 栄養充つ 特に 頭と体の疲れ払拭 新鮮な活力の源 今 銃後と前線に愈々要る 護身必携薬
胃痛に 疲労に 頭痛に 慰問に  消化と毒消し 仁丹」
掲載:昭和17年10月 
明治節(11月3日:明治天皇誕生日。今は文化の日)の奉祝と合わせて、戦争協力の啓蒙を図るといった定石の広告。

内容
「奉頌 明治節  赫耀たる 大東亜戦第一回の佳節を祝し奉り 必勝態勢を更に鋼鉄の如く! 仁丹本舗  国民奉祝の時刻 午前九時
逞しい体力こそ決戦時代の要請! 栄養低下を防ぐ爲 何んな物でも消化吸収を完全にすること 心身疲労を防いで常に気力の新鋭を保つこと この二つを絶えず解決し体力増強には 卓絶せる仁丹連用
胃弱に 腹痛に 頭痛に 疲労に 消化と毒消し仁丹   慰問に一番重用され何時でもお喜び頂ける護身薬」
掲載:昭和17年11月 
明治節や大詔奉戴日など、節目節目を利用した体制への協力広告が仁丹の真骨頂。

内容
「きょう大詔奉戴日 爪牙を磨く敵を忘れず 戦抜く生活全面勿体ないに徹して絶対不敗の底力を! 森下仁丹本舗
この日!慰問を出しましょう 戦地で一番重宝な一番御待望の仁丹を入れて! これからの冷え性を防ぎ 咽喉をまもり 疲労をふせぐ 
胃腸に 疲労に 頭痛に 仁丹」
掲載:昭和17年11月 


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