レコードの広告

広 告

「歌は世につれ、世は歌につれ」の言葉どおり、歌は世相を如実に表す。また、歌は我々の情緒に訴え、心を一つにまとめる力がある。現代と違い、娯楽自体が少なく、歌も、生の外はレコードとラジオ位しか媒体がない時代にあっては、レコードの影響力は、非常に大きかったと思われる。当然、当局もこの力を思想統制に利用することになる。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの諺どおり、昭和18年頃から社会から敵国である米英色を一掃する運動が始まり、レコードについては敵性音盤追放運動として店や家庭から米英色のあるレコ―ドが回収され消えていった。

レコードドラマ 上海事変、空閑少佐の広告
レコードドラマとは、今で言うところのラジオドラマと同様の耳で聞くドラマである。 上海事変後にすぐに出されており、この事変が国民の間に如何に愛国心を燃え上がらせたかを垣間見ることが出来る。
空閑(くが)少佐とは、上海事変にて大隊を率い奮闘したが、部隊は大きな損害を受け、少佐も不幸捕虜となってしまった。しかし、捕虜交換で生きて戻ったが、捕虜となったことを恥じて自決した。このことが美談としてもてはやされた。

内容
「その迫力と厳粛な感銘
レコードドラマ 松井松翁作 上海事変  肉弾三勇士編・林聯隊長編
レコードドラマ 長谷川幸延作 噫空閑少佐 
ニットーレコード」
掲載:昭和7年5月 

軍歌レコードの広告
この年の7月に起こった盧溝橋事件を契機に、日中は全面戦争に突入した。軍歌はその性質上、戦時下において盛んに作られるものであり、特に支那事変から太平洋戦争期にかけて続々軍歌が制作されていくことになる。「新作品続々発売」とあり、ビクターの力の入れ様が伺える。
内容
「ビクター挙国熱唱の軍歌レコード  新作品続々発売  目録贈呈
ビクター売捌元 東京・銀座 十字屋」
掲載:昭和12年9月 

コロムビア9月新譜の広告
「燃ゆる大空」という陸軍航空隊を描いた戦争映画の主題歌のレコード発売広告に注目。皇紀2600記念として制作された東宝映画で、映画にも登場する九七式重爆撃機が描かれている。 この映画には特撮の神様円谷英二も参加している。
内容
「近日封切 燃ゆる大空 東宝映画主題歌 陸軍省選定歌 国民歌謡 全蓄聨推奨 
 詩・佐藤惣之助 曲・山田耕作 霧島昇 藤山一郎 ・コロムビア合唱団・
(片面)機上の歌 伊藤久男 菊池章子〜」
掲載:昭和15年8月 

コロムビア10月新譜の広告
「航空日の制定に因み、航空に関するレコードの広告である。当時の航空機やプロペラのイラストを使用するなど、航空思想の普及に国を挙げて取組んでいる様子があらわれている。また、左端には「スパイを防げ」の標語が添えられており、防諜思想の普及の取組も併せて行われていた。
内容
「航空日制定九月二八日 航空日本の歌 曲・佐々木すぐる (片面)空の船長
 歌手 伊藤久男 霧島昇 藤山一郎 二葉あき子…中野忠晴 松平晃 二葉あき子 奥山彩子 菊池章子 朝日新聞選定
燃ゆる大空 詩・佐藤惣之助 曲・山田耕作 霧島昇 藤山一郎 コロムビア合唱団 陸軍省選定・国民歌謡 東宝映画主題歌
 (片面)機上の歌 伊藤久男 菊池章子 〜   後援 陸軍省 海軍省 文部省 逓信省 帝國飛行協会 〜」
掲載:昭和15年9月 

コロムビア12月新譜の広告
15年9月に締結された三国同盟の歌が早速登場するとともに、日満支の親善の歌も創られており、文化面も国策にあわせていることが伺われる。嗚呼北白川宮の歌では大政翼賛会推薦という文字も見える。
内容
「日独伊同盟の歌 大木惇夫作詞 山田耕作作曲   三国旗かざして 伊藤久男・霧島昇・二葉あき子   (片面)コロムビア管弦楽団
興亜三人娘 日満支親善歌 佐藤ハチロー作詞 古賀政男作曲  奥山彩子 李香蘭 白光
陸軍省 海軍省 文部省 内務省 撰定 奉讃歌 大政翼賛会推薦歌   嗚呼北白川宮殿下 伯爵二荒芳徳謹作詞 小関裕而謹作曲 奥山貞吉謹編曲 伊藤武雄 二葉あき子謹唱 〜」
掲載:昭和15年11月 

コロムビア3月新譜の広告
大政翼賛体制を隅々まで浸透させるため、家庭音頭という歌まで作られた、作曲は古賀政男、作詞、サトウ・ハチローという第一人者によって作られた。6番まであり、内容は、翼賛体制下の家庭のあるべき姿を表現したもの。一番の歌詞は、「サッと来た サッと来たしょサッとね 人に好かれて明るく強く 大和一家の暮らし振り 繋いで輝く心と心ヨイトサノサ 家庭は小さな翼賛会」である。
内容
「新体制 家庭音頭 大政翼賛会宣伝部監修(作曲)古賀政男 (作詞)サトウ・ハチロー)霧島昇 伊藤久男 松原操 菊池章子 コロムビア合唱団 大評判!
紀元二千六百年奉祝楽曲 〜 」
掲載:昭和16年2月 

コロムビア4月新譜の広告
音楽業界も、国民に翼賛体制を浸透させ、挙国一致で戦争遂行に向かうために協力していく、これぞ翼賛体制である。
内容
「陸軍省撰定・国民歌 国民恤兵歌 詩・佐藤惣之助 曲・古関裕而 伊藤久男 霧島昇  九段ざくら 詩・野村俊夫 曲・古賀政男 菊池章子 体制翼賛の歌 体制翼賛会撰定 (片面)翼賛行進曲 コロムビア管弦楽団 
陸軍省撰定・国民歌 戦陣訓の歌 伊藤武雄 伊藤久男 〜 」
掲載:昭和16年3月 

コロムビア7月新譜の広告
「そうだその意気」とは、ウイキペディアでは、昭和16年5月25日にコロムビアレコードから発売された国民歌謡「海の進軍」のB面の楽曲である。作詞は西條八十、作曲は古賀政男で、歌は霧島昇、李香蘭、松原操。「国民総意の歌」の副題がある。と説明がある。詩を海軍省と読売新聞が公募したようだ。イラストの艦影は戦艦「長門」のようである。また、聴覚訓練用とは、和音などの聴音教育用と思われるが、時節柄軍事目的に利用されたことが推測される。
内容
「そうだその意気 文部省検定済 読売新聞社撰 霧島昇 松原操 李香蘭 (片面)海の進軍 海軍省選定
国防に! 工場に! 学校に! 聴覚訓練用レコード 学校教授用 一般指導用 (吹込)上野音楽学校 上野児童音楽学園 〜 」
掲載:昭和16年6月 

キングレコードの広告
支那事変4周年記念で、出された広告。
内容
「事変記念 銃後強化 キングレコードの熱唱盤
歌いましょう! 一億国民が永久に記念すべき力強い歌です。是非どうぞ! 国民歌 出征兵士を送る歌 陸軍省選定 唄永田絃次郎 長門美保
国民歌 愛国行進曲 内閣情報部選定 唄永田絃次郎 長門美保
愛国歌 愛馬行 陸軍省選定 唄児玉好雄 三門頼子 片面 愛馬進軍歌 永田・長門 〜」
掲載:昭和16年7月 

キングレコード8月新譜の広告
軍事色の強い歌曲が並ぶようになってきた。そんな中でも塹壕投げ節とは、一度聞いてみたい。
内容
「傑作揃いの八月新譜
歌謡曲 塹壕投げ節 筑波高 歌謡曲軍港嬢 横山郁子 歌謡曲 陸軍省選定 勇ましき軍鳩  文部省指定 国民学校音楽鑑賞盤 子守歌 君が代行進曲…井口小夜子 帝国海軍軍楽隊 さくら・さくら 軍艦行進曲…井口小夜子 キング児童合唱団 帝国海軍軍楽隊  体制翼賛会宣伝部推薦 家庭劇 大和一家の日曜日(明朗健全の傑作盤)〜」
掲載:昭和16年7月 

コロムビア11月新譜の広告
7月の新譜であった「そうだその意気」に振付が付いたようである。色んな手段で挙国一致体制を作ろうとしている。また、空襲を怖がるなという趣旨のレコードが出されているが、まさに当局の指示であろう。
内容
「なんだ空襲  防衛総司令部 陸軍省 東日・大毎撰定 霧島昇 松原操 二葉あき子 (片面)空襲なんぞ恐るべき 伊藤武雄
国民総意の歌 そうだその意気 家庭舞踏 工場体操振付付 各省撰定 文部省検定済 読売新聞社選 霧島昇 松原操 李香蘭 〜」
掲載:昭和16年10月 

キングレコード12月新譜の広告
「君と僕」とは、朝鮮人志願兵制度(徴兵制実施は昭和19年度から)をテーマにした映画で、昭和16年11月封切。主題歌が「よろこびの歌」であり、歌手の永田絃次郎は朝鮮出身で本名は金永吉だそうだ。また、童謡も戦時下らしく、忠君愛国を浸透させる内容である。
内容
「 映画 君と僕主題歌 よろこびの歌 永田絃次郎 映画の感激がそのまま歌になった素晴らしい傑作 志願兵行進歌 ヴォーカルフォア合唱団 
童謡物語 銃後の子供達 解説カード付
童謡 仰ぐ忠霊塔 仲よし童謡音楽団  靖国の子へ 河村順子 〜」
掲載:昭和16年11月 

「進め一億火の玉だ」の広告
進め一億火の玉だとは、大政翼賛会が定めた国策標語であるが、曲が付けられレコード化された。広告掲載は、12月20日が初出であるが、同月内にその後2回掲載された。内容は同じであるが、枕詞が追加されている。 24日付け「国民総熱唱!」、25日付け「一億同胞総熱唱」というようにヒートアップしている日米開戦時からイケイケである。因みに一億とは本土だけでなく、朝鮮、台湾を合わせた人口である。
内容
「決戦の歌 大政翼賛会 作詞・作曲 進め一億火の玉だ ヴォーカルフォア合唱団
(片面)頑張りどころだ 読売新聞社選定 大政翼賛会推薦 林伊佐緒・近衛八郎 井口小夜子・横山郁子 キング合唱団 キングレコード」
掲載:昭和16年12月 

コロムビア1正月新譜の広告の広告
大東亜戦争という名称は、昭和16年12月12日の閣議で決定したもの。記事にある「大毎東日募集」というのは、歌詞を大阪毎日新聞、東京日日新聞が募集しているということ。よって発売は昭和17年3月のことらしい。戦艦のイラストが用いられているが、艦影から伊勢型戦艦であろうか。
洋楽はすでにドイツの関係の音楽になっている。この後、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの例え通り、米英に関するものは悉く排除されていった。レコードも同様で敵性音盤回収運動が巻き起こった。
内容
「屠れ米英! 大東亜決戦の歌 帝国海軍軍楽隊作曲 情報局推薦 陸軍省 海軍省 文部省 防衛総司令部 軍事保護院 大政翼賛会 日本放送協会 後援 大毎東日募集 霧島昇 藤山一郎 コロムビア合唱団 (片面)感激の合唱 〜」
掲載:昭和16年12月 

キングレコードの広告
今月から、新たに防衛総司令部選定が加えられている。これは昭和16年7月に編成された組織である。 また、昭和14年に発売された「出征兵士を送る歌」も合わせてPRされている。この歌は、大日本雄辯會講談社が公募により制作した歌であり、大ヒットした。
内容
「全国民熱唱 決戦の歌 進め一億火の玉だ
防衛総司令部 撰定歌 大政翼賛会 作詞作曲
出征兵士を送る歌  標準盤 四種発売 キングレコード」
掲載:昭和17年1月 

キングレコードの広告
昭和17年3月に発売された国策レコードで 上下2枚に分かれていたようである。「〜帝国陸海軍は本八日未明、米英軍と戦闘状態に入れり〜」という有名なフレーズが入っている。ナレーターの竹脇昌作とは、アナウンサー、ナレーターとして活躍した方で、俳優竹脇無我の父親である。
内容
「一億起てり! 連日放送 十二月八日の報道部発表のアナウンス入り 決戦記念盤
大政翼賛会宣伝部作 防衛総司令部撰定
朗誦・竹脇昌作「進め一億火の玉だ」の唄・小西信義 横山郁子
キングレコード」
掲載:昭和17年2月 

キングレコードの広告
昭和16年12月8日の開戦にちなんで、毎月8日が「大詔奉戴日」に決まったことを記念して、翌年に発売された国策盤。 レコード会社各社から同タイトルのレコードが発売されたが、キングレコードからは子供向きの「大詔奉戴日の歌」が発売された。
内容
「小国民歌 大詔奉戴日の歌 大政翼賛会推薦 高橋民次郎詞・河村光陽 曲 キング小国民合唱団
(片面)日本放送協会教養部選 そうだ僕らも決戦だ 玉木登美夫 詞  丹生健夫曲 キング小国民合唱団 大日本雄弁会講談社 発売
キングレコード」
掲載:昭和17年2月 

キングレコード3月新譜の広告
一押しは「一億起てり」であり、ほかにも大詔奉戴日の歌、大東亜行進曲などの国策盤が目白押しである。 洋楽盤も出されているが、ドイツやイタリアの同盟国のものである。戦時色とはこういうことなのだ。
内容
「戦時下の名曲盤三月の新譜
歴史的決戦記念盤 一億起たてり!  文句入り「進め一億火の玉だ」 小国民歌大詔奉戴日の歌 (片面)そうさ僕らも決戦だ 
童謡 起て日本の小国民(二枚組) ハホトうたって 浜辺の子蟹 お肩をタントン  大東亜行進曲 国民歌 荒土にも陽はそそぐ 吹奏楽 陸軍軍歌集(其二)
キング洋楽盤 日本テレフンケン ベートーヴェン曲 ロマンス 十二インチ二枚組  家庭音楽器楽篇 〜」
掲載:昭和17年2月 

キングレコードの広告
昭和17年2月15日、待ちに待ったシンガポールが陥落した、緒戦の連戦勝利に酔っていた日本国内はこの節目の勝利に大いに沸きたち、様々な記念行事が行われた、一方、勝って兜の緒を締めよ的な論調も多く見受けられた。 このレコードも、最中に発売されたもので、作詞は時雨音羽、作曲は林伊佐緒、十億とは大東共栄圏、つまりアジアの人口を指している。
内容
「高らかに歌へ!東亜民族 総進軍の譜! シンガポール陥落記念発売 聖戦歌 十億の進軍 (歌曲)文部省検定済 読売新聞社選 防衛総司令部撰定 陸軍省報道部 海軍省当局 情報局 大政翼賛会 推薦 (歌)木下保 木下男性合唱団」
掲載:昭和17年2月 

コロムビア3月新譜の広告
こちらもシンガポール陥落を祝した録音。作詞、作曲、歌唱には大物が名を連ねている。あいかわらずの国策盤のほか、洋楽は同盟国であるドイツのもので、スッペ傑作序曲集とドイツ陸軍軍楽隊によるドイツ行進曲集である。
内容
「陥したぞシンガポール 詩・西城八十 曲・古賀政男 霧島昇 合唱付 (片面)あなうれし コロムビア合唱団  シンガポール晴の入城 詩・野村俊夫 曲・古関裕而 伊藤久雄 合唱付 (片面)日本晴だよ
大政翼賛会撰定 戦い抜こう大東亜戦 霧島昇 二葉あき子 大政翼賛会制定 決戦生活訓 和田信腎  〜」
掲載:昭和17年2月 

キングレコード4月新譜の広告
引き続き「十億の進軍」をメインで宣伝している。洋盤では、ドイツの吹奏楽「連隊の挨拶」や「リヒトホーフエン爆撃隊」 伯林防衛連隊軍楽隊 指揮・楽長アーラーズという勇ましいものが紹介されている。
内容
「進め貫け米英に最後のとどめ刺す日まで キングレコード
シンガポール陥落記念盤 連日放送でお馴染みの歌 聖戦歌 十億の進軍 高らかに歌へ!東亜民族総進軍の譜!〜 軍国歌謡 空爆の歌 小西信義 歌謡曲 地下の進軍 松島詩子〜 軍歌 感激の記念盤 ハワイ撃滅の歌〜 決戦物語 実戦まのあたり! ハワイ撃滅〜」
掲載:昭和17年3月 

コロムビア4月新譜の広告
洋楽には同盟国であるイタリアギャロの管弦楽団が出ているが、フランスの歌曲集もある。実はフランスは敵国ではなかったからである。
内容
「大政翼賛会撰定 戦い抜こう大東亜戦 月月火水木金金の歌です!〜
朝日新聞社献納 陸軍省選定 大東戦争陸軍の歌〜 満洲建国十周年慶祝映画 日・満・支親善映画 満映作品 松竹応援映画 迎春花 主題歌 李香蘭〜 近代仏蘭西歌曲集 フォーレ作 ドビュッシー作 デュバルク作〜 伊太利ギャロ管弦楽団 軽音楽選第二十八集 伊太利第一の人気男ギャロの素晴らしいメロディー〜」
掲載:昭和17年3月 

キングレコードの広告
真珠湾攻撃の際、特殊潜航艇(甲標的)に乗組み、湾内の艦船に奇襲攻撃を行うために5隻が突撃したが、全て未帰還となり、搭乗員のうち酒巻和男海軍少尉(捕虜となった)を除く9名が2階級特進し、軍神とされた。特攻隊というと大戦末期のゼロ戦等に航空機による神風特攻が有名だが、この攻撃が特別攻撃隊と呼ばれた最初のようである。
内容
「讃仰賦 大政翼賛会宣伝部作
特別攻撃隊  (朗読)和田信賢 (歌)永田絃次郎
義烈!真珠湾の華と散った軍神九柱! 国民的感激盤 キングレコード」
掲載:昭和17年4月 

コロムビア5月新譜の広告
真珠湾攻撃(当時はハワイ海戦と呼んだ)から5か月、レコードが出され、いやがうえにも戦意は昂揚することになる。興味深いのは正常歩行行進曲。どうやら正常歩行の訓練を行うための楽曲で、要はしっかり行進=行軍するための訓練なのであろう。興味深いのは、時節柄同盟国「イタリアの歌劇名歌集」や「南方の音楽(タイ、仏印、マレイ、ビルマ、ジャバ、バリ島、スマトラの民族音楽)」の予約募集である。
内容
「堂々たる新譜陣! ハワイ海戦 大毎・東日撰定 佐々木信綱・詩 帝国海軍軍楽隊・曲 大政翼賛会撰定 内藤楽長指揮 帝国海軍軍楽隊 酒井弘 (片面) 壮烈特別攻撃隊 西城八十・詩 山田耕筰・曲 霧島昇 二葉あき子〜
正常歩行行進曲 小国民用 国民学校、中等学校、青年学校生徒の爲、厚生省の指導の下に製作した決定版。十二寸三枚一組ケース入 小国民音楽選 第一集 小国民に與うる健全にして情操豊かな音楽。三枚一組ケース入〜」
掲載:昭和17年4月 

コロムビア11月新譜の広告
昭和17年10月の広告は、緒戦の勝利から落ち着いてきたのか、全体的に戦意を煽る言葉が少なくなっている。実際はミッドウエー海戦の敗戦によって局面が大きく変わってきているのだが、国民には知らせられず、国内はまだ落ち着きを保っているのであろう。
内容
「歌え!小国民進軍歌 毎日ラジオで放送された居ります! 軍事保護院 陸軍省・海軍省撰定 霧島昇 コロムビア合唱団 コロムビア自動合唱団〜
小国民用 第二集 正常歩行行進曲〜」
掲載:昭和17年10月 

キングレコード正月新譜の広告
開戦一周年を迎えたのだが、レコードには特に戦時色のあるものは出ていない。面白いのは、弾丸切手命中である。
内容
「洋楽 日本テレフンケン 交響詩 ドン・ファン リヒャルト・シュトラウス作曲 メンゲルベルグ指揮 コンツエルトケボウ交響楽団(二枚一組 八・四四)
歌謡曲 弾丸切手命中 松島詩子 林伊佐緒 ペダルを踏んで 横山郁子〜」
掲載:昭和17年12月 

富士音盤の広告
敵性語追放が、あらゆる分野に影響している。しかし、「キング」がなぜ「富士」に変わるのか?大衆雑誌の「キング」も昭和18年3月号から「富士」に改題している。
内容
「キングレコード改め富士音盤
キングレコード、タイヘイレコードは今般「富士音盤」と改称致します。どうぞ倍旧の御愛顧をお願い申上げます。〜」
掲載:昭和18年5月 

ニッチクレコードの広告
海軍航空の歌とは、昭和18年5月発表、作詞:くろがね会、作曲:海軍軍楽隊、唄:伊藤久雄 霧島昇、演奏:海軍軍楽隊、日蓄男声合唱団である。
裏面の海の荒鷲は、作詞:高橋鞠太郎、作曲:佐々木すぐる、唄:霧島昇・渡辺はま子、演奏:日蓄合唱団、日蓄管弦楽団である。 因みに、昭和17年8月、敵性語追放により「コロムビア」も「ニッチクレコード」に社名を変更し、洋楽を廃止した。
内容
「海軍航空の歌 海軍航空本部撰定
軍楽少佐 内藤清五指揮 海軍軍楽隊 伊藤久雄 霧島昇
(片面)海の荒鷲 海軍航空本部推薦 霧島昇 渡辺はま子
コロムビア改めニッチクレコード  日蓄工業株式会社」
掲載:昭和18年7月 

ニッチクレコードの広告
昭和18年9月公開の「愛機南へ飛ぶ」の主題歌「索敵行」の広告。映画は、陸軍航空士官学校出身の偵察要員が主人公であり、つまり「索敵」である。前広告は、海軍航空がテーマだったが、今度は陸軍航空である。主題歌は映画の公開に先立つ昭和18年4月25日に発売された。
内容
「索敵行   松竹映画 愛機南へ飛ぶ主題歌 陸軍航空本部撰定 伊藤久雄 霧島昇 楠木繁夫
(片面)大空に祈る
コロムビア改めニッチクレコード  日蓄工業株式会社」
掲載:昭和18年7月 

富士音盤の広告
7月の新譜の広告である。童謡のタイトルからもわかるように、皇民教育は幼いころから施されていた。また、開拓の歌が出されている。満蒙開拓団は国策として昭和6年以降行われていたが、昭和18年も後半に入ると開拓どころではないと思うのだが。また、洋楽は当然ながら連合国のものはなく、ドイツの軽音楽である。
内容
「童謡 昭和の御代に生れ来て 仲よし童謡音楽団 頑張りましょう勝つまでは
歌謡曲 地平の果まで 永田絃次郎 国民皆唱、汗と鍬で開拓する男子の歌 (片面)赤道越えて〜」
掲載:昭和18年7月 

ニッチクレコードの広告
東宝映画『決戦の大空へ』とは、昭和18年9月16日に公開された戦争映画で、少年航空兵である予科練の生活と訓練をテーマにしたもの。主題歌は「若い血潮の予科練の〜 」の有名な歌詞で知られる『若鷲の歌』で、裏面に収録されたのが『決戦の大空へ』である。 因みに作曲の古関裕而は、コロムビアレコード専属の作曲家で阪神タイガースの応援歌や早稲田大学の応援歌しで知られるが、令和2年NHK朝の連続テレビ小説『エール』の主人公でもある。
内容
「決戦の大空へ 東宝映画 主題歌 海軍省推薦 若鷲の歌 霧島昇 浪平暁男  決戦の大空へ 藤山一郎 詩・西城八十 曲 古関裕而 ニッチクレコード  日蓄工業株式会社」
掲載:昭和18年9月 

富士音盤の広告
大政翼賛会が関わった戦意昂揚のための新譜が数多い。また、洋楽はもちろんドイツのものである。
内容
「キングレコード改め 富士音盤 詩曲厳選・録音優秀 十月新譜
朗読と管弦楽 大政翼賛会宣伝部作 あの旗を射たせて下さい 片面 きこえる 丸山定夫 愛国百人一首 大政翼賛会制定 みたみわれ   海軍省当局監修 佐古海軍少尉原作 杵屋弥十郎作曲 長唄 皇軍艦 〜 日蓄工業株式会社」
掲載:昭和18年9月 

富士音盤の広告
広告を一瞥するとほとんどが軍事保護院や陸海軍省、文部省、情報局などの推薦や撰定である。国策レコードオンパレード。
内容
「キングレコード改め 富士音盤 大アジヤ獅子吼の歌 軍事保護院・陸軍省・海軍省―撰定(詩・曲)文部省検定済〜 曇りなき緑の空(愛国百人一首) 文部省推薦・情報局撰定 常磐津千束勢太夫〜 勝ちねく小国民童謡集 大政翼賛会推薦 ▲きょうは大詔奉戴日〜 歌謡曲二大傑作盤 次の荒鷲た僕達だ 大空への逞しい傑作歌謡 清新溌剌若人たちの愛唱歌(片面)荒鷲の母〜」
掲載:昭和18年12月 

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