爆弾三勇士を扱った広告

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第一次上海事変の勇士、爆弾三勇士(肉弾三勇士とも呼ばれる)をモチーフとした広告を紹介する。
昭和7年2月22日、敵陣突入を目指し、鉄条網破壊作戦に選ばれた3人の兵士(江下武二、作江伊之助、北川丞)は、破壊筒を持って鉄条網に突入、破壊し突撃路を確保したが全員爆死した。爆弾三勇士(肉弾三勇士とも)と称えられ、その忠烈が日本国中を熱狂させた。この美談は全国的に持てはやされ、当時の一大ブームとなった。 当時の映画・演劇、歌の世界を席巻し、彼らを扱った多くの作品が作られた。この人気にあやかり、広告の世界にも多く登場している。

ポリドールレコードの広告
爆弾三勇士に因む歌はいくつか制作されたようで、これはポリドールから出されたもの。銃剣付きの三八式歩兵銃の先に鉄兜というシンプルだが、分かりやすいデザインである。
内容
「大阪毎日新聞社 東京日日新聞社 懸賞募集入選歌 爆弾三勇士の歌
(B面)意想曲「爆弾三勇士」 陸軍戸山学校軍楽隊及合唱団 指揮 楽長 辻順治(レコード番号三六〇一 一円二〇銭
時局小唄 肉弾三勇士の歌 上海事変の歌 赤坂小梅 三絃ピアノオーケストラ
ポリファー式電気吹込 ポリドール・レコード」
掲載:昭和7年3月 

キリンビールの広告
爆弾三勇士の破壊筒をビール瓶に置き換え、鉄条網への突入の場面を描いている。「突撃!!キリンは絶えず進路を開く」のコピーと合わせ、シンプルだが力強い訴求力のある作品になっている。実際の突入から約2ヵ月後の掲載である。
内容
「キリンビール
突撃!!突撃!!キリンは絶えず進路を開く
宮内省御用達 麒麟麦酒株式会社」
掲載:昭和7年4月 

煙出片脳油の広告
こちらも、片脳油の瓶を破壊筒に置き換えているが、三勇士が抱えて突入爆破ではなく、害虫めがけて薬液をふりかける構図である。そして、コピーは「害虫軍全滅」とうまいアイデアである。
因みに小林脳行は昭和59年倒産し、小林製薬に営業権を譲渡しているが、かっての商品「バスタニック」のテレビCMは有名で、「衛生薬品の総合メーカー、小林脳行」というナレーションが脳裏に残っている。
内容
「殺虫・防臭・消毒用 煙出片脳油(ケムダシヘンノウユ)の偉力  害虫軍全滅  恐るべき伝染病を媒介する害虫を撲滅せられたし
御注意  近来粗悪なる類似品が沢山ありますから、御買求めの節は必ず、煙出と小林脳行の文字に御注意を願います。
本舗小林脳行 (全国各薬店ニリ)」
掲載:昭和7年5月 

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