タンゴドーランの広告

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昭和15年から始まった新体制運動によって華美は悪とされ、質素倹約が要求された、美容、化粧品業界もそれに呼応し、厚化粧から簡素な健康美へと方針転換していった。タンゴドーランは大阪の宇野達之助商会から発売されていた化粧品であるが、御多分にもれず化粧時間の短さを売りにするようになっていった。

およそ化粧品のコピーとは思われない「適正物価で需給を明るく」というコピー。これも非常時のなせるわざ。

内容
「美と魅力の近代化粧料 タンゴドーラン
これからの生活は適正物価で需給を明るく… これからの身嗜みは…タンゴの適正化粧で、明るく新鮮な健康美化粧を… 〜」
掲載:昭和15年4月 
固形のため、白粉が飛ばないというのが売りであった。

内容
「横に しようが 縦に置こうが 粉一つこぼれない 快適な粉白粉!
固形タンゴドーラン 優美パフ付 七色あり 大八〇セン 並五〇セン 小四五セン
  株式会社・宇野達之助商会・大阪・東京」
掲載:昭和16年9月 
お国の役には立たない化粧時間は、早いほど良いというご時世。算盤勘定のイラストが効果的である。

内容
「先づ化粧時間から、無駄をハジキ出せ!
クリーム、化粧水、白粉の三重美作用を一品に総合したタンゴなら…三分とかゝらぬ健康美の早化粧ができます
タンゴドーラン ★お顔の色に応じて一層美しくなる七色あり 各色七〇セン
  株式会社・宇野達之助商会・大阪・東京」
掲載:昭和16年9月 
容器の幾何学的なデザインはとってもモダンである。色も黄色地に青色と赤色の二種類があったようだ。また、表面には名前の由来であるタンゴを踊っている男女のイラストが付けられていた。このコピーからは、飛び散る白粉に皆困っていたことががわかる。

内容
「こぼれないのが自慢なのです ハンドバッグ専用の御愛粧にもッてこい!
固形タンゴドーラン 粉がこぼれずトテも便利な七色白粉優美パフ付 
大八〇銭 並五〇セ銭 小四五銭
  株式会社・宇野達之助商会」
掲載:昭和16年9月 
基本同じデザインでコピーとイラストの変更で広告を継続している。

内容
「先づ 化粧を簡素に健康美で歓喜力行
クリーム、化粧水、白粉の三重美作用を一品に総合したタンゴなら…一つけ一度で三分とかゝらぬ健康美の早化粧が出来ます タンゴドーラン ★お顔の色に応じて一層美しくなる七色あり 各七〇セン
  株式会社・宇野達之助商会・大阪・東京」
掲載:昭和16年9月 
翼賛美人とは?質素倹約の先にあるのは、ノーメイクであるが、それでは化粧品は不要となってしまうので、最低限の薄化粧はしてもらいたく健康美という言い方で正当化している。面白いのは、何不自由ない現代でも素肌美が持てはやされている。

内容
「虚飾を捨てた 健康美本位の翼賛美人になれ
健康美をつくる タンゴドーラン 
★お顔の色に応じて一層美しくなる七色あり 各色七〇セン
  株式会社・宇野達之助商会・大阪・東京」
掲載:昭和16年9月 
固形の為、粉が散らないこと(当然か)が売りの商品であるが、とてもシンプルな広告である。

内容
「粉を散らさず上手に個性美を生かす
優美パフ付・七色あり 内地改正公定価格 九五・六〇・五四セン
  固形タンゴドーラン 株式会社・宇野達之助商会・大阪・東京」
掲載:昭和16年12月 
同月内の広告、こちらも、とてもシンプルな広告である。ハンドバッグ化粧とは聞きなれない言葉である。

内容
「論より証拠
ハンドバッグ化粧に使った方なら粉をこぼさぬ固形のヨサが証明出来る  優美パフ付 新鮮美の七色あり 内地改正公定価格 九五・六〇・五四セン
  固形タンゴドーラン」
掲載:昭和16年12月 
働く女性の味方である簡便な化粧法と健康美という視点は、時世にあった化粧品共通の売り言葉である。魅力の七色は今のところ不明である。

内容
「働け働け日本晴の明るい顔で 健康美をつくる
●お顔の色に応じ一層美しくなる魅力の七色あり 内地改正公定価格 各色 八三セン
  タンゴドーラン 株式会社・宇野達之助商会・大阪・東京」
掲載:昭和16年12月 
生産力をあげるための能率向上は至上命題であり、能率向上に繋がるものならなんでも売りになった。

内容
「誰もが忙しい
のだから… 誰でも、コナを散らさぬ粉白粉 固形タンゴの身嗜みで、能率をあげねばなりません
優美パフ付 新鮮美の七色あり  内地改正公定価格 九五・六〇・五四セン
  固形タンゴドーラン」
掲載:昭和16年12月 
戦時標語を前面に打ち出した国策広告。「屠れ(ほふれ)米英我等の敵だ」とは、昭和16年12月の真珠湾攻撃の後に、大政翼賛会が出したスローガンの一句。当時は、合言葉のように使われていたようである。

内容
「屠れ米英我等の敵だ
固形タンゴドーラン
便利だ!便利だ!コナの散らない新鮮美化粧料
優美パフ付 七色あり 九五セン 六〇セン 五四セン」
掲載:昭和17年4月 
上記から二日後の広告。内容は上記と同じであるが、戦時標語が砲弾の中に入るなどインパクトがより強くなっている。

内容
「屠れ米英我等の敵だ
固形タンゴドーラン
粉白粉の代りに・・・ 粉の散らない固形タンゴをゼヒ一度!
優鮮美の七色あり 優美パフ付 九五セン 六〇セン 五四セン」
掲載:昭和17年4月 
更に三日後の広告。内容はあいかわらず同じであるが、戦時標語が追加されどんどんインパクトが強くなっている。「進め一億火の玉だ!」も同時期に大政翼賛会が定めた国策標語で、二つ並べたことから、強い意志が感じられる。

内容
「屠れ米英我等の敵だ
進め一億火の玉だ!
粉白粉よりずッと使いよい粉の散らない新鮮美化粧料
優美パフ付 七色あり 九五セン 六〇セン 五四セン
固形タンゴドーラン
株式会社・宇野達之助商会」
掲載:昭和17年4月 
更に翌日の広告。今度は「屠れ米英我等の敵だ」の標語が爆弾の中に入っている。米英をやっつけるという意気込みがひしひしと感じられるデザインである。

内容
「屠れ米英我等の敵だ
粉を散らさず手早く化粧(でき)る新鮮美
固形タンゴドーラン
優美パフ付七色あり 内地改正公定価格 九五・六〇・五四セン」
掲載:昭和17年4月 
更に二日後の広告。今度は大砲の砲煙のなかに「屠れ米英我等の敵だ」を入れ込んできた。粉が飛散しないという売り文句も微妙に言い回しを変えてきており、制作者の苦心の跡が感じられる。

内容
「屠れ米英我等の敵だ
固形タンゴドーラン
不愉快なコナの飛散を防いだ、新鮮美容料
優美パフ付 新鮮美の七色あり 九五セン 六〇セン 五四セン」
掲載:昭和17年4月 
告知内容は変わらず、少しデザインを変えたいわゆるバージョン違いが続いている。「屠れ米英我等の敵だ」の標語を使い続けている。

内容
「屠れ米英我等の敵だ!
固形タンゴドーラン
働く女性にお薦めする粉の散らない新鮮美整容料
優美パフ付 七色あり 九五セン 六〇セン 五四セン」
掲載:昭和17年10月 
お決まりの「屠れ米英我等の敵だ」をアレンジしたコピーが面白い。悪の米英が行っている華美な化粧は悪である、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いということ。下部の白髪染ナゴンとは、同じ会社の商品であり、今までは別々に掲載していたが、経費節減であろうか。

内容
「屠れ米英模倣の華美化粧! 日本女性は固形タンゴの健康美!
固形タンゴドーラン
優美パフ付・粉の散らない新鮮美の七色あり 九五・六〇・五四銭
株式会社・宇野達之助商会・大阪東区南九宝寺町三

志らが染 ナゴン 帝大化学実験室で研究完成の白髪染〜」
掲載:昭和17年11月 


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