ワカモトの広告

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「わかもと」とは、現在も販売されているロングセラー栄養剤である。昭和初期は国民の栄養状況が極めて悪く、白米中心であったため脚気が多かった。解決するためにビール酵母の研究から栄養剤の開発に成功し、昭和4年に合資会社「栄養と育児の会」を設立、「若素(わかもと)」が発売された。そう、わかもとの語源は「若さの素」である。 昭和8年に「わかもと製薬会社」と改称し、現在に続く老舗製薬会社である。

一面全部を使った大広告。薬の効き目を、大砲に例えてアピールしている。
大砲を打つ兵士が「錠剤わかもと砲の威力を見せてやるぞドン〜〜」と発砲すると、鬼に例えられた肺病や食あたり、脚気、はらくだしが「これはかなわぬ、逃げろ〜」といって敗走するといったイラストである。隣には犬を連れた西郷さんが「おいどん錠剤わかもとをのんでこげん丈夫になったでごわず」とダメを押している。いずれも人物には子供を使用しており、愛らしい子供受けする表現となっている。また、当時、流行っていた懸賞付きであるが、賞品は一等から三等までが債権であり、四等が家庭で重宝する書物(一体なんであろうか)と五等がお子様大喜びの彩色漫画絵本(もれなく添付)というように、親心に訴求する広告である。


内容
「胃腸栄養 錠剤わかもと
子供を丈夫に お腹をこわし易いコドモ〜 風邪を引き易いコドモ〜
愛用者大懸賞特売! 世界三十ヶ国販路進出記念として 此の幸運は誰の手に?〜
薬価低廉(三百錠入)一円六十銭
発売元・東京市芝公園 株式会社栄養と育児の会」
掲載:昭和11年1月 
錠剤わかもとの広告。暖房用の炭の配給もままならないご時世、暖房無しでいられるよう、寒さに強いからだ作りに「わかもと」を服用しようという、耐乏生活もここまできたかと思わせる内容。これが、太平洋戦争前の状況であった。

内容
「低温無病 錠剤わかもと 
燃料節約時代の低温生活で弱点を暴露し、感冒だ肺炎だと騒ぎ出すのは旧体制です。 翼賛家庭は錠剤わかもとを用意して耐寒栄養の充実や虚弱体賦活を図り、強靭な体力を錬成し低温生活を無病で悠々突破! 体質を強化する諸栄養〜 胃腸が弱ると風邪をひく〜  一日数銭 二十五日量一円六十銭 〜 」
掲載:昭和16年2月 
母親の使命は強い子供(男の子)をたくさん生むこと。そんな時代であった。

内容
「母性鍛錬 強い子を多く産む為の母性の強化は鍛錬から……鍛錬に最も必要な栄養は錠剤わかもとを用いますと、潤沢に且つ効果的に摂ることが出来ます。 
脚気! 最近の検診によれば、妊婦に脚気若くは潜在性脚気が激増しつつありますが、錠剤わかもとはX・Bの外にグルタチオン、燐酸塩等を含み凡ゆる脚気を軽快させ浮腫・倦怠を一掃します。〜 同化性V・Bと3消化酵素の複合効果 錠剤わかもと
  発売元 東京 わかもと本舗 支社 大阪・福岡・京城・奉天 北京・済南・上海・漢口」 
掲載:昭和16年9月 
この段階で、直接的な戦争協力広告になった。太平洋戦争に突入し、緒戦の戦勝に沸いていたが、労働力強化が至上命題であった。

内容
「胃腸、栄養と疲労克服に 
戦勝へ強行の時 虚弱は禁物だ!鍛えよ決戦体力
夜業残業の強行にもよく耐え、戦時勤労の能率を充分に発揮し得る強靭な体力を確保することが急務です。過労から結核や胃腸病等を惹起しては遺憾至極。先づわかもとを服用して積極的に体質を強化し、疲労を防ぎ、抗病力を昂揚し、戦時をがんばり抜く底力を要請しましょう。 〜 この感激を増産へ!」 
掲載:昭和17年2月 
前回の広告に輪をかけて労働力の強化とそのための商品消費を国民病と言われた結核予防の効能を強調することでアピールしている。

内容
「働け勝つのだ伸びるのだ! 
体力の増強は戦勝の促進だ!弱体を強化して能率昂揚へ
[肋膜炎・結核の防止]働き盛りの産業戦士の最も警戒されねばならぬのは肋膜炎・肺結核等の結核病です。微熱・盗汗・心身衰弱等の徴候を感ずる方は早くわかもとを用いて、抵抗力を強化し疲労を軽減して初期の内に病禍を防ぎましょう。 〜 」 
掲載:昭和17年2月 
食料不足で統制せざるを得ない現状を逆手にとって、たぶん、粗食で小食となることを捉えているだと思うが、胃腸病を治す好機であるとは…ものもいいよう。低い姿勢で進む兵士のイラストが「勝とう病魔」に加え「戦に勝とう」との戦意高揚の効果ももたらしている。

内容
「勝とう!病魔に宿敵に 
小児消化不良・胃拡張・胃下垂・常習便秘等、慢性胃腸病回復の好機は食料統制の今です!
細胞賦活作用〜 脚気を予防〜 喰菌力を増強〜」
掲載:昭和17年3月 
病弱者には肩身の狭い世情であったことがよくわかる内容であり、それが商機になっていることになる。

内容
「漲る栄養、溢れる体力 
全力を振って大東亜戦を戦い抜く爲に、病弱者は錠剤わかもとで体栄養を充実し増産体力確立へ! 結核の治癒力を増強 食欲不振、倦怠感微熱、盗汗等の身体違和は結核潜在の徴候ですから〜    細胞賦活作用 筋骨薄弱で体力に乏しく、仕事にすぐ疲労を覚える虚弱者は錠剤わかもとを常用して体質を強化し〜」
掲載:昭和17年4月 
疲労回復にはビタミン剤と言うのは、昔から続く日本独特の風習なのだ。右下にある砲丸投げのマークは現在も使われている社章である。

内容
「毎日疲れる強度作業者に 
増産戦に挺身する産業戦士の保健第一課は疲労の迅速な恢復にあり 〜 わかもとで戦時食も無駄なく消化吸収して身につけましょう…… 同化性ビタミンBと3消化酵素の複合効果 錠剤わかもと

掲載:昭和17年10月 
わかもとの売りは、病気に罹らないように、が合言葉であった。

内容
「ビタミンBが不足すると、、、 
戦時下には病気に罹らぬよう、体力を落とさぬよう、最も大切な栄養を、わかもとで十分に確保して下さい。
妊婦〜 小児〜 労務者 筋肉を劇しく使えば、それだけ沢山のビタミンBが失われ、その補給を怠る時は、疲労が募り結核を起し易くなりますので、毎日欠かさずわかもとを服んで、心身の不調を防ぎ、体力を充実して能率を上げられますよう。 
胃腸・栄養・脚気  錠剤わかもと 一日数錠 二十五日量 一円六十銭〜 」
掲載:昭和17年11月 


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