仁丹歯磨の広告

広 告

口中清涼剤の代名詞ともなった仁丹が歯磨製造に乗り出すのは自然の流れであり、大正11年仁丹ハミガキを発売した。容器にアルミを用いたのは、わが国初らしい。昭和16年の頃には、練り、半練り、粉と三種類の歯磨を販売していた。特に半練歯磨は、経済性から時局にあっていることを売りにしている。

ライオン歯磨に対して、少量で済むという経済性をアピールする作戦である。
内容
「半煉の仁丹歯磨は 時局向な経済品 他の半量で挙がる… 強力清掃効果!
練はみがきの素晴らしさ 最高度の煉密度― 適度の収斂性― 爽快な香味―」
掲載:昭和16年6月 

仁丹煉歯磨と半煉の仁丹歯磨の2大製品の広告であるが、半煉はその経済性から国策型と形容されている。
内容
「〜 仁丹の煉歯磨 煉歯磨界の最高版として好評噴々
独自な半煉に濃縮醇化あsれた成分 僅少量で効果する国策型 経済歯磨 比類なき効率を誇る半煉の仁丹歯磨」
掲載:昭和16年7月 

「戦時下唯一の理想的な歯磨」とは、自信みなぎるコピーである。
内容
「新しい性能を備えた 半練の仁丹歯磨
薬質的にも経済的にも 最も優秀な性能を備えている仁丹の半練歯磨は、今迄にないすばらしい清掃効果と其の快適な使用感! 
戦時下唯一の理想的な歯磨です
姉妹品 仁丹の練歯磨 仁丹の粉歯磨 仁丹のハブラシ 
株式会社 森下商店」
掲載:昭和16年11月 

戦時下における経済性をアピールした広告。イラストのパラシュートは空から投下されたということで、新鋭を表現しているであろうか。
内容
「新鋭!の経済品 容量はたっぷり 少量で倍効果!
強い殺菌清掃力は 口中の荒れ!口臭、歯垢、細菌を除去清掃して口腔を常に正常で新鮮な状態に置きます。
半練の仁丹歯磨」
掲載:昭和17年3月 

歯磨は慰問品としても好適品であったようである。イラストの子供の足元で光る星は、何を表しているのであろうか。
内容
「歯磨は一家揃って毎日のことですから… 最も経済的で効果の的確な仁丹歯磨を選びましょう
容量はたっぷり 他品の倍効果! 戦線の慰問に
殺菌清掃力 歯齦の強化 香味と感触 共に完璧! 
半煉仁丹歯磨
姉妹品 仁丹煉歯磨 仁丹粉歯磨 仁丹歯ブラシ」
掲載:昭和17年10月 

「理想的な優秀経済歯磨」とは最上級の冠付けであり、時局柄、経済性のアピールは欠かせない。
内容
「健民生活の必需品 戦時下の理想的な優秀経済歯磨!
優雅な香味 快適な歯触り 的確な殺菌清掃力
半煉の仁丹歯磨
姉妹品 仁丹煉歯磨 仁丹粉歯磨 仁丹歯ブラシ」
掲載:昭和17年10月 

仁丹は、自分の商品を国策に結びつけることが上手である。ここでも、歯磨が御奉公につながることを誠しとやかに表現している。
内容
「健歯で御奉公 増産へ 建設に
歯磨は 健民生活の保健衛生上欠かせない必需品です 
仁丹歯磨は 優れた殺菌清掃力と温雅清涼な香味に依って気分を一新! 一日の勤労へ力を添えます
半煉仁丹歯磨
姉妹品 仁丹煉歯磨 仁丹粉歯磨 仁丹歯ブラシ」
掲載:昭和17年12月 

決戦型言う言葉が流行しているのをいち早く導入。質素倹約を決戦型と言い換えているのだが、婉曲な表現で罪の意識を薄くするのは日本人の常套手段だ。退却を転進。無駄死にを玉砕。今でも売春を援交、窃盗を万引きなど枚挙に暇がない。
内容
「御徳用な決戦型の歯磨
決戦食生活だ  強い歯を創りましょう 一定量の食物から最大量の栄養を
半煉の仁丹歯磨
株式会社森下商店」
掲載:昭和18年10月 

3か月ぶりの広告。決戦歯磨粉という新語で勝負してきた。良く噛むことは現在でも推奨されるのだが、そのことで最大量の栄養が取れるというのは誇張ではないだろうか。
イラストは大根と蕪(玉ねぎ?)であり、それほど噛む対象としての食材とは思われない、また栄養化もそれほど高くないのだが、食材の代表として掲載されているのが面白い。食糧不足のなか手に入りやすい食材なのであろうか。
内容
「咀嚼力の増強
新規格の決戦歯磨粉 
強い歯で 良く噛んで 一定量の食物から 最大量の栄養を!
仁丹歯磨」
掲載:昭和19年1月 

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