求人広告

広 告

戦時下ならではの求人広告をご紹介。

丸善石油株式会社の広告
戦える男子はことごとく戦場へ送られ、女性の力を借りるほかない状況になっていく。 そんな社会状況が表れた広告である。 丸善石油とは、明治40年創業の 丸善礦油部を前身とし昭和8年に設立された。現在のコスモ石油は、昭和61年、大協石油、丸善石油、旧:コスモ石油の3社が合併したもの。
丸善ガソリンと言えば、CMで使われた「オー・モーレツ」の言葉が大流行したことを覚えている。
大黒町は神奈川県が昭和11年に埋め立てた土地で、多くの工場が進出したが空襲で大きな被害を受けた。
内容
「女子も進出だ  寄宿舎完備
丸善石油株式会社横浜製油所 横浜市鶴見区大黒町二六番地
転業にも向く  福利施設完備」
掲載:昭和18年10月 

日立製作所の広告
戸塚工場は昭和12年に設立され、当初は電話機,電話交換機など有線通信機器を製造していたが、その後無線通信機械を製造するようになり、大戦中は軍用無線機を製造し、学徒動員も受け入れていた。この歴史ある工場も平成28年に閉鎖され、現在は中外製薬の研究所になっている。
内容
「働く戦士へ  寄宿舎完備
日立製作所戸塚工場 横浜市戸塚区戸塚町二一六番地
明るい慰安  福利施設完備」
掲載:昭和18年10月 

神奈川県国民職業指導所(船員募集)の広告
島国日本は海運が命の綱であり、戦時は多くの民間船が徴用され軍事物資や兵員の輸送、哨戒に当ったが、軍に徴用された民間船員の死亡率は軍を上回り、約6万人の方が犠牲になったそうである。 そのため、船員の養成にも力が入れられていたことがこの広告からもわかる。
国民指導所とは今の職安の前身であり、国家総動員体制のなかで昭和13年に国営化された職業紹介所である。昭和16年に国民職業指導所、昭和19年に国民勤労動員署と名称変更した。
内容
「敵は船員をドシドシ作ってる 十月二十七日夜 大本営海軍報道部富永中佐は其放送に「あらゆる戦力の前提要件は海運力つまり船と船員の増強にある」と叫んだ 今その船員が足らぬ、後日ではない今だ!
国家は船員に論功行賞を行う、〜
神奈川県国民職業指導所」
掲載:昭和18年11月 

国民職業指導所(船員募集)の広告
10月にも船員募集の広告が掲載されたが、海運は日本の命綱である。しかし、男子はすべて軍に徴用される状況で、船員の補充は喫緊の課題であった。その思いが文面に溢れ出ている。
内容
「「日本怖るべし」と敵は懸命で艦船を作り兵を送り、基地奪取にあせってる 取り返されてなるものか それには船員がいる 軍にもれた青少年は次に船員を志望すべし。然らずんば勝ち抜けぬ
国家は船員に論功行賞を行う、また船員掖済授□会も出来た。父兄指導者殊に婦人方の理解を期待す。最寄国民職業指導所と本会支部へハガキで(返信料不要)
東京都日本橋白木屋九階 船舶運営会(本会は運通大臣の命令で海運管理の一元機関)
各地国民職業指導所」
掲載:昭和18年12月 

朝鮮総督府警察官の広告
朝鮮総督府が設置した警察であるが、この時期に大増員とある。大量に内地人の警察官を必要としたのである。その理由はなんであったのか。ネットで調べると当時の警察官の6割は朝鮮人であったという説もあるがそれとの整合性はなど、確かめることはいくつかある。
内容
「朝鮮総督府警察官大増員(内地人)
〇資格 満二十歳以上四十歳迄 
〇試験 □□ナル・書取・作文・□□ 
〇待遇 初任月収賞典共平均約百二十円・家族手当一人五円宛外ニ諸手当有〜 
〇恩給〜 
〇昇進 一年ニシテ試験ノ上〜 
〇試験日 試験所 一月二十五日 静岡警察講習所〜 
〇手続 履歴書・〜
朝鮮総督府警察官講習所」
掲載:昭和19年1月 

日本飛行機株式会社の広告
旧磯子区富岡にあった飛行機工場。増産要求により人手不足であるが男子は戦地に赴き、残る女性の力に頼ざるを得ない状況が推測できる。特に、寮母、寮婦の募集は、遠方からの徴用工などの増加を物語っている。
内容
「男女従業員募集
一、勤務先 神奈川県 日本飛行機株式会社
◇職種 事務、写図(高女卒程度二十八才位迄) 寮母、寮婦(三十才―五十才位迄住込得る方)
◇工員 各種男女従業員(満四十五才位迄) 女子ハ特ニ軽易ナル作業(但技能者ヲ除ク)女子従業員特ニ歓迎ス 
一、採用地域 通勤可能区域
一、申込方法 履歴書ニ「日本飛行機志望」ト明記申込ノコト
横濱市中区桜木町二ノ二 横濱国民職業指導所」
掲載:昭和19年1月 

昭和特殊製鋼株式会社の広告
昭和特殊製鋼とは、昭和12年設立の鶴見区生麦にあった特殊製鋼会社。守衛に軍人歓迎とあるのは時代を感じさせる。男子不足の中、女性歓迎はどこも同じである。
内容
「従業員募集
一、勤務先 神奈川県 昭和特殊製鋼株式会社
一、職種 守衛(可成四十才位迄ノ□□軍人歓迎) 女子事務員(高女卒程度) 一般従業員(満十四才以上国初卒程度モ身体強健ナルモノ)
◎女子工員・家庭婦人ヲ特ニ歓迎ス 転業者特ニ歓迎(但技能者ヲ除ク)
一、採用地域 通勤可能区域
一、申込 履歴書ニ「昭和特殊製鋼志望」ト明記申込ノコト
横濱市鶴見区鶴見町 鶴見国民職業指導所」
掲載:昭和19年1月 

日本国際航空工業株式会社の広告
昭和16年日本航空工業と国際工業が合併してできた航空機製造会社。京都、神崎、平塚、淀川、福井に工場を持っていた。陸軍の軍需工場として、輸送機や練習機、グライダーなどを製造していた。平塚工場では、輸送用グライダーや練習機、輸送機、戦闘機「疾風」の可変ピッチプロペラを作っていた。
戦後は民需(鉄道車両、自動車車体製作)に転換し、現在は日産車体株式会社として継続している。
内容
「従業員緊急募集
一、勤務先 神奈川県 日本国際航空工業株式会社
一、職種 一、業務員及消防員(被服支給帰還軍人ハ特ニ歓迎ス) 二、男女工員(経歴ハ問ハズ素人ニテ可) 三、女子事務職員(高女卒程度又ハ事務経験者)(但シ技能者ハ除ク)
一、待遇 会社経理統制令及賃金統制令ニ依ル経験者ハ其ノ〜ニ優遇ス
申込方法 履歴書ニ「日航希望」ト記シ最寄リ職業指導所ニ申込下サイ
平塚市 平塚国民職業指導所」
掲載:昭和19年1月 

日産自動車株式会社の広告
現在の大企業である日産自動車の求人広告。求人広告にも標語を入れるあたりは、さすがである。
内容
「〇勝抜ケ生産モウ一押シダ〇 
一般男女青壮年募集
一、勤務先 神奈川県 日産自動車株式会社
一、職種 発動機製作・機械工其他
一、資格 満十六才以上男女 ◎要転業者ハ一定期間営業ノ傍ラ勤務シ得ル様便宜ヲ与ヘマス
一、採用地域 神奈川県下
一、申込 最寄指導所又ハ会社宛申込ノコト
横浜市中区桜木町 横濱国民職業指導所」
掲載:昭和19年1月 

東京螺子製作所の広告
明治31年港区で操業した民需用ネジ製造会社。大正10年藤沢市片瀬に移転。戦時中は軍の共同管理工場の指定を受け航空機用のネジを製造。戦後は、戦後はミネベアに吸収され、現在はミネベアミツミ株式会社藤沢工場になっている。
職種に青年学校指導員とあることから従業員を対象とした私立青年学校を持っていたことがわかる。
内容
「一般男女青壮年募集
◇勤務先 神奈川県 合資会社東京螺子製作所
◇職種 一般男女工員(満十四才以上心身強健者) 青年学校指導員・守衛・舎監 寮母・女事務員 転業者・女子工員特ニ歓迎
◇採用地域 通勤可能区域(宿舎及福利施設完備)
◇待遇 特ニ優遇ス・採用者ニハ旅費其他支給
◇申込方法 希望者ハ履歴書持参申込ノコト
藤沢市 藤沢国民職業指導所」
掲載:昭和19年1月 

佐倉鋼鉄工業株式会社の広告
佐倉鋼鉄とは、明治10年創業の鉄工所で陸海軍用品や飛行機・自動車の部品を製造していた。採否即日決定というのが人材の払底を物語っている。
内容
「一般男女青壮年募集
一、勤務先 神奈川県 佐倉鋼鉄工業株式会社
一、職種 板金・鍛工・鉄鋼・仕上其ノ他
一、資格 身体強健アル萬五十才未満男子及満四十才未満ノ女子(但技能者ヲ除ク)
一、作業 航空機部分品製造
一、採用地域 通勤可能区域
一、□□ 採否即日決定□□費支給ス
一、申込方法 履歴書ニ(佐倉鉄工工業志望)ト明記申込ノ事
横浜市桜木町 横浜国民職業指導所」
掲載:昭和19年1月 

海軍軍属募集の広告
「軍属」とは、軍人以外で本人の意志により職業として陸海軍に勤務する者である。内容を見てみると様々な職種がある事がわかる。勤務地は南方であり、採用されてから約2年ということは、昭和20年の敗戦までということであり、多くの方が戦死されたと推測される。
内容
「◎海軍軍属(男子・工員級)募集
一、勤務先 南方外地
一、職種 大工・舟大工・□材・石工・煉瓦・左官・鳶工〜 舟夫・抗夫・斧夫・自動車運転手。機械運転手
一、資格 十八才以上五十五才以下ニシテ〜又ハ免許証ヲ有スル者
一、待遇 海軍軍属 給与百二十円以上・家族手当(扶養家族一名ニ付五円)賞与支給・宿舎・食事・〜
一、□□期間 二ヶ年程度(現地勤務) 一、□□  □□中一定ノ期間□□ス
  一、申込方法 一月二十五日午前九時迄ニ □□・鶴見・境町各労働分所ヘ申込ノ事」
掲載:昭和19年1月 

横浜理容学校の広告
注目すべきは女子理容師の養成であること。男子は出征し、残された婦女子があらゆる仕事につかざるを得なくなった世情が表れている。本科2年かかる所を、速成科の6か月とは4分の一である。学校も繰り上げ卒業になり、質の低下はあらゆるところに影響を及ぼすことになる。
内容
「生徒募集  ◎転業者歓迎!  女子理容師養成(十五才以上ノ女子ニ限ル)
◇本科二ヶ年・速成科六ヶ月◇ ◇申込締切 三月二十五日迄◇
横浜市中区蓬莱町一丁目十九番地  神奈川県認可 財団法人 横濱理容学校」
掲載:昭和19年2月 

日本航空機器株式会社の広告
転業者や傷痍軍人、帰還軍人など残された男子しか頼りに出来ない実情が伺える広告である。戦争終結まであと1年半もあるのだが。
内容
「一般男女青壮年緊急募集
一、勤務地 神奈川県 日本航空機器株式会社
一、職種 男女製□員(中学校卒業程度)板金工・銅鉱・各種機械工・検査工・仕上工・溶接工・木工・□□大工・左官・鳶職・其他、タイピスト(若干名)但シ技能者ヲ除ク、守衛(勤務所二ケ所有面談ス・年四十才以上ヲ望ム)
◎転業者傷痍軍人・帰還軍人大歓迎!
一、年齢 十五才以上 寄宿舎アリ
一、待遇 時ニ優遇ス
一、申込方法 履歴書ニ(日本航空機器志望)ト明記ノコト
横浜・横須賀国民職業指導所」
掲載:昭和19年2月 

横須賀海軍共済病院看護婦養成所の広告
転業者や傷痍軍人、帰還軍人など残された男子しか頼りに出来ない実情が伺える広告である。戦争終結まであと1年半もあるのだが。今月は三回求人を出している。
内容
「看護婦生徒募集募集
一、資  格 年齢満十四年以上二十年未満ニシテ国民学校高等科卒業又ハ高等女学校二年以上ノ課程ヲ修業セル未婚者
一、願書受付 昭和十九年二月末日限
一、詮衡期日 昭和十九年三月十八日 但二月十日迄ニ願書到着ノ分ニ対シテハ二月十七日第一次考査施行ノ予定
一、詮衡場所 横須賀市深田町三一五 横須賀海軍共済病院
一、入学期日 昭和十九年四月十日
一、提出書類 志願書、履歴書、学業成績表(用紙所要ノ向ハ事務□ニ請求セラレタシ
一、募集人員 若干名
一、特  典 採用者ハ見習看護婦トシテ海軍軍属ノ身分ヲ取得シ卒業後ハ無試験ニテ免許状下付セラル
一、手  当 採用後ハ寄宿舎ニ起居シ一学年日給七十銭、二学年日給七十五銭(食費月額十円本人負担)及年三回賞与ヲ支給ス
横須賀海軍共済病院看護婦養成所」
掲載:昭和19年2月 

石川島航空工業株式会社の広告
石川島航空工業株式会社は、石川島造船所が昭和16年に飛行機エンジン専門の工場として設立したもので、現在のIHIである。求人広告にも米英撃滅を加えて戦意を煽っているようだが、同時に工員不足に窮している状況が伺われる。
内容
「米英撃滅飛行機製作  □レ!!男モ女モ!!
神奈川県 石川島航空工業株式会社
職員 女子事務補助者 給仕・男子警務員
工員 男女共航空機製作 各種工員多数
年令 満十四才以上五十才迄
待遇 年令履歴ニ応ジ優遇ス
申込 横濱国民職業指導所」
掲載:昭和19年2月 

横浜理容学校の広告
今月2回目の広告。広告では奉仕つつ学ぶとあるので、課程のなかで実際に産業戦士への理髪の授業があるのであろう。
内容
「産業戦士の理髪に奉仕つゝ学ぶ
◇募集人員(本科一〇〇名 速成科二〇名(十五才以上ノ女子ニ限ル)
理髪専門 財団法人 横濱理容学校 神奈川県認可 横浜市中区蓬莱町一丁目十九 電話六五八」
掲載:昭和19年2月 

船舶運営会の広告
18年12月以来の広告。日本の命綱である海運がおざなりにされているのに憤慨しつつ、なんとか若い男性を集めたいという思いが切実である。船舶運営会とは民間船舶の運航や船員の一元管理を行うために昭和17年4月に設立された戦時統制組織である。
「前線から慰問金が飛行機関係へ来た 海運増強を主眼として大臣が代った 然し船員が資材を運ばねば成功せぬ 敵は無理押しに迫って来る 船員となって戦勝の鍵を握りましょう
満十四歳以上の青少年は殊に小形船に歓迎す〜 父兄指導者殊に婦人方は時局を見直して下さい 
東京日本橋 白木屋五階 船舶運営会 (本会は運通大臣の命令に依る海運管理の一元機関)
本会本部又は左記へハガキで御問合せ下さい(返信料不要)
横浜市中区海岸通り二ノ四 船舶運営会
東京都芝区海岸通り二ノ八 船舶運営会」
掲載:昭和19年3月 

警視庁消防官吏の広告
昭和23年内務省所管の警視庁が解体されるまで、消防は警視庁消防部として警視庁に所属していた(警察消防)。 若者払底のため徴兵年齢の引き下げ同様、消防職員も17才まで引き下げられた。来る空襲対応のための職員増員と考えられる。
「年少消防官ノ制度成ル
警視庁消防官吏増員採用
志願資格 年齢満十七歳以上四十歳未満ノ者 志願手続 志願書及〜 
詮衡科目〜 
待遇 〜 
詮衡日及場所(何レモ午前九時開始) 神奈川県(三月十三日 厚木国民職業指導所 三月十四日 小田原国民職業指導所)〜」
掲載:昭和19年3月 

日立製作所の広告
日立製作所は、国策広告の項でも紹介しているが、生産の面からの戦意高揚を図る内容の広告が多い。今回は、プラス求人の内容を強化したものに仕上がっている。
「男も女も 今こそ急げ第一線工場へ
米英撃滅 決戦職場
前線へ一機でも多く 銃後生産は我等の手で  
神奈川県下 日立製作所」
掲載:昭和19年3月 

船舶運営会の広告
同月に複数回求人広告を出していることからも船員の払底は限界であり、あらゆるルートを使って船員の求人に手を尽くしている様子が伺える。
「船員募集 神奈川県各国民勤労動員署
求人者 東京都日本橋白木屋五階 特殊法人 船舶運営会
(本会ハ全日本ノ船舶会社ヲ構成員トシ一元的ニ戦時海運ヲ統制運営ス)〜 常時詮衡
  横浜国民勤労動員署船員分所(横浜市中区北仲通リ六ノ六六)」
掲載:昭和19年3月 

朝鮮総督府警察官の広告
軍隊に人を取られどこもかしこも男手不足のなか、朝鮮総督府の警官も人が足りないようだ。その理由は、内地と同様、兵隊に取られているからなのか?
しかし、印刷がつぶれて完読できないのが残念。
内容
「朝鮮総督府警察官大増員(内地人) 〇資格 満二十歳以上四十歳迄
〇試験 簡単ナル。書取。作文。口述
〇待遇 初任月収賞与共 平均約百二十円・家族手当一人五円迄外ニ諸手当有・被服類一切官給・本人家族ノ〜
〇恩給〜 
〇昇進 一年ニシテ試験ノ上□長〜 
〇手続 志願書・履歴書・写真・筆記用具携帯午前九時出願 
〇試験日時場所 四月三十日神奈川〜  
朝鮮総督府警察官講習所 」
掲載:昭和19年3月 

日本製鉄株式会社の広告
日本製鉄とは、昭和9年に国内の主要製鉄会社を統合した国策会社。南方の作業所とはどこであろう。
内容
「日鉄南方工員募集 一、求人者 日本製鉄株式会社
一、勤務先 南方製鉄所各作業所
一、職 種 鍛冶工、製鋲工、〜
一、資 格 年令二十三才以上ニシテ身体壮健ナル者〜
一、給与等 各国民勤労動員署ニ備付アル〜
一、申込方法 各国民勤労動員署ニ〜
一、詮衡 三月三〇日午前九時ヨリ横浜国民勤労動員署ニテ行ウ交通費実費及ビ弁当料支給
横浜市中区桜木町 横浜国民勤労動員署」
掲載:昭和19年3月 

個人の求人広告
綾瀬村在住個人の求人である。軍人家族とあるので、男手が出征している、または戦死したと想像できる。残された家族の生活はやはり大変であった。しかし、材料輸送に便宜あるとは一体何であろうか。
内容
「決戦勤労 軍人家族ニ出来ル仕事御世話下サイ
材料輸送ニ付特別ニ便宜ガアリマス  高座郡綾瀬村上深谷四六一八 五十嵐一郎」
掲載:昭和19年3月 

古河電気工業の求人広告
キャチフレーズの古賀元帥に続けとは、昭和19年3月搭乗していた飛行艇が行方不明となり殉職とされた古賀峯一大将のことを指している。
内容
「古賀元帥に続け!! 決戦増産要員急募
一、勤務先 神奈川縣 古河電気工業株式会社電池製作所 一、職種 電池工・守衛他 一、資格 満十四歳以上本年度□卒中等卒及技能者ヲ除ク ◎転業者歓迎! 一、待遇 特ニ優遇ス(通勤困難者ニハ寮設備アリ) 一、申込方法 履歴書ニ『古河電池志願』ト記シ左記ヘ申込ノコト 応募者ニハ交通費支給ス 横浜市桜木町二 横濱国民勤労動員署」
掲載:昭和19年5月 

日本國際航空工業株式会社の求人広告
陸軍の軍需工場であり、輸送機や練習機、グライダーなどを製造していた。航空機のイラストを交えた勇ましい内容になっているが、連絡先等求人情報がないため、国策広告でもある。
内容
「空の決戦だ 飛行機を送れ!!
職場の決戦だ 来れ!
日本國際航空工業株式会社」
掲載:昭和19年5月 

船舶運営会の広告
3月に続く船舶運営会の求人広告。気合がはいった募集コピーであるが、果たして、このような人材が集まったのであろうか。
内容
「勝つ爲だ 漕ぎ出せ 乗り切れ 大東亜海 豪快青少年駈足で集れ(満十四歳以上)
東京駅前 帝国生命館八階 船舶運営會 船員局 (本会は日本海運船員管理の唯一機関)
詳細左記支部へ(手続等問合せは返信料不要)
横浜市中 海岸通リ二ノ四 船舶運営會 東京都芝 海岸通リ二ノ八 船舶運営會」
掲載:昭和19年5月 

船舶運営会の広告
5月に続く船舶運営会の求人広告。目的は同じだが毎回言葉を巧みに変えて募集をかけている。効果のほどはどうなのであろう。
内容
「軍が待つ 国が呼ぶ 船員を 完勝の鍵の持主 
優良豪快満十四歳以上駈足集れ
詳細下記へハガキで問合せを(返信料不要)
東京駅前 帝国生命館 船舶運営會  本会本海運船員整備管理の唯一機関)
横浜市中區海岸通リ二ノ四 船舶運営會  東京都芝區海岸通リ二ノ八 船舶運営會」
掲載:昭和19年6月 

船舶運営会の広告
太平洋戦争で亡くなった戦没された船員6万余人の霊を慰めるため、戦没船員の碑が観音崎にあり、天皇皇后両陛下も慰霊に参列される。どちらかというと求人より国策のための広告。
内容
「第一線への補給を欠けば勝てぬ 
船員各位の敢闘に向かって深甚なる敬意を表し謹みて武運長久を祈る  満十四歳以上はすぐに輸送船員として後に続け
船舶運営會」
掲載:昭和19年7月 

船舶運営会の広告
本土に迫ってきた敵を敢えて「寄せた」と表現し、これから逆転という発想は敗戦まで続くのだ。
内容
「手元へ寄せた米鬼 一刀両断の時は今  船員が要る 軍協力と増産に
優良満十四才以上は直ぐ手続待遇問合せ 東京駅前帝国生命館 船舶運営會 〜」
掲載:昭和19年7月 

神奈川県産業報国会の広告
手当が貰えて講習が受けられる。人出不足も極まれり。
内容
「寄宿舎 工場 寮母舎監養成講習会
▲講習期間 昭和十九年十月1日ヨリ一ケ月間▲会場 横浜市駅前□□倶楽部・川崎・鎌倉・小田原ノ四会場ニ開催▲講習費 一切不要・講習中ハ手当三十円ヲ支給ス▲修了者ハ同会ニ於テ就職ヲ斡旋シ□□ス△希望者ハ市区町村役場・各警察署内□支部・各勤労動員署又ハ本会ニ六円切手封入□至急〜請求アレ ▲資格 満二十歳以上ノ女子 ▼申込 九月二十日限リ本会ヘ申込ノコト 横浜市中区山下町二二四番地 電話本局五四五一・五七七八 神奈川県神奈川県産業報国会」
掲載:昭和19年9月 

海軍施設部の求人広告
軍属として南方に派遣されるのだが、そのうち何人が生きて国へ戻れたであろう。採用から出発までわずか2日という超タイトな日程であり、これもご時世か。
内容
「芝浦海軍施設部南方要員大募集(軍属)
一、募集職種 各職種ニ亘リ採用 
一、資格 十八才以上五十五才以下ノ身体強健ナル者 
一、待遇 給与百二十円以上家族手当(扶養家族一名ニ付五円)賞与支給、宿舎、食事□□官給 
一、銓衡日時及場所 九月十八日午前八時 藤棚・鶴見・境町各労働分所 
一、出発 九月二十日午前八時 右分所ニ集合ノ上出発 神奈川県国民動員課」
掲載:昭和19年9月 

芝浦製作所の求人広告
女子は綺麗な易しい仕事とあるが本当か?
内容
「女子従業員募集 
一、勤務先 神奈川県 株式会社芝浦製作所〇〇工場 
一、職種 男女各種従業員(□□ノ上採否決定) ◎特ニ女子ハキレイナ・ヤサシイ仕事 
一、資格 満十六才以上国民学校修了程度・身体□□者(但シ 昭和十八年度以降□□□中卒並技能者ヲ除ク)
◎転業者・女子工員・特ニ歓迎ス! 
一、採用地域 通勤可能区域(宿舎利用モ可) 
一、申込方法 履歴書持参又ハ郵送ノ事
横浜市戸塚区戸塚町 戸塚国民勤労動員署」
掲載:昭和19年9月 

船舶運営会の広告
船員の数は払底し、毎月募集広告を出さざるをえないのであろう。軍人以外で一番命が危険な仕事ではないだろうか。しかも、採用が十四歳以上というのも恐ろしいことである。
内容
「米奴の驕慢と残念残忍許す可らず 海上輸送に挺進之を撃滅すべし 
年少満十四歳でこの特権を受け得るもの船員のみ、急げ  
待遇手続左記へ問合せ  東京都丸ノ内一ノ一帝国生命館 船舶運営会(本会は船員整備管理の唯一国家代行機関也)
   東京駅前帝国生命館 船舶運営會 
横浜市中区海岸通リ二ノ四 船舶運営会」
掲載:昭和19年9月 

横浜理容学校の広告
床屋さんも出征していうことで床屋さんが不足。そこで、女性の理容師を養成するということであろう。しかし、わからないのは、最後の「海軍航空技術廠付属理髪部」の文言。卒業したらここに勤めることになるのか?
内容
「速成科第二期生募集 来ル十月一日開始 六ケ月卒業 定員二十名 十五才以上ノ女子ニ限ル 神奈川県認可 財産法人 横浜理容学校 横浜市中区尾上町六ノ八七(朝日ビル前) 通年勤労報国会教場  海軍航空技術廠付属理髪部」
掲載:昭和19年9月 

このページのトップへ