旅行・旅館の広告

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伊豆半島めぐりの広告
戦争遂行には国民体力の底上げが必要であるため、健康報国が叫ばれ、心身の鍛錬に最適としてハイキングが奨励された。 健康=旅という構図でPRに活用している。15館が紹介されている。
内容
「銃後の守りはまづ健康から 旅に鍛えよ心と力 伊豆半島めぐり 下記は著名温泉旅館
旅と旅館のことは一切無料 豆相温泉旅館案合所 横浜市中区長者町五(バス停前) 横浜市桜木町駅前 興産館前
箱根御探勝は 富士箱根自動車、清流を眼下に見晴しよき 湯河原温泉多の杉分店、空気清澄召勝景を誇る 伊豆山温泉ふるや旅館、
全市の眺望唯一 熱海温泉旅館大伊豆本店、鉄道開通南国気分豊かな 伊東温泉東龍館、京浜の郊外健康地として 伊東温泉大伊豆支店、
新築落成〜 熱川温泉大東館、南伊豆の仙境極寒己に梅笑う 片瀬海岸温泉海浜館、湯量の豊富と効能〜 伊東温泉大東館、
隠れたる閑雅の仙境 蓮台寺温泉湯端旅館  情緒豊かな湧出〜 下賀茂温泉伊古奈ホテル  新体制の添う都会人御静養の保健地 畑毛温泉伊豆の入口富士見館、南伊豆の中心地 伊豆下田温泉下田温泉ホテル、能舞台の設備 庭園拡大 修善寺温泉あさば別館、
ラジウム含有本邦随一 長岡温泉甲州家、景色眺望随一浴室完備せる 古奈温泉住吉館、温泉ハイキングに 東海自動車」 
掲載:昭和15年11月 

綱島温泉二業組合の広告
二業とは、芸者屋と料理屋の組合であり、県は彼らにも新体制の徹底を要請していた。 「其筋の令達」という文言に伺うことができる。綱島温泉はかっては、東京の奥座敷と呼ばれた大きな温泉街であったが、新幹線の開業などで、箱根・熱海に客足が移行し廃れていった。
内容
「時局に即応致し其筋の令達尊重、家庭の延長として開放組合員一同営業致し居ります 星軍将兵壮行会の宴は特に御相談申上げます
綱島温泉二業組合
水明 梅島 桃花 東京 桔梗 洗心 来楽 入船 田中 桃山 文化 琵琶圃 高砂園別館 静香 永命 福住 長楽 大網 里の家 常盤 綱島荘  綱島園 中丸園 松島園 末広 へちま 楽園 桃月庵 千歳」鳴子 静岡家 福よしホテル 嬉野 興花 熱海 弥生 甲子 春日家 辰芳 旭屋(順不同)」
掲載:昭和16年1月 

箱根温泉組合の広告
「明日への飛躍、今日の休養」という文言からは、産業戦士の日々の激務が垣間見えてくる。温泉旅館を列挙しているが、今に続いている旅館が多々あるのが、さすが箱根である。
内容
「新緑の箱根路を色彩る紅白のつつじ全山に満開
箱根十二湯は魂のオアシス! 明日への飛躍!今日の休養! 箱根振興会 箱根温泉組合
湯本須雲清光園 塔ノ沢環水楼 堂ヶ島対星館 堂ヶ島大和ホテル 底倉梅屋旅館 底倉仙谷屋旅館  強羅観光旅館 強羅ときわ あしの湯松坂屋本店 芦ノ湯きのくにや旅館 仙石原下湯場万岳楼 仙石原上湯場冠峯楼 元箱根橋本屋旅館 箱根町箱根ホテル
駿豆鉄道直営旅館 中強羅強羅温泉ホテル 元箱根町駒ヶ岳温泉ホテル 同山水楼 同富士見楼 同芙蓉亭 同神山温泉ホテル」
掲載:昭和16年5月 

伊豆半島温泉めぐりの広告
昨年11月以来であるが、伊豆半島めぐりから温泉めぐりに特化している。16旅館が紹介されているが、内容に入り繰りがあるのが興味深い。
内容
「銃後の守りは先ず健康から・旅に鍛えよ心と力 伊豆半島温泉めぐり(著名温泉旅館御案内)
旅と旅館のことは一切無料 横浜旅行案合所 伊豆箱根及全国温泉案内所横浜市中区長者町五(市電バス停前)
 海原を一目に眺めらる三層楼 熱海温泉本店古屋旅館   藤木川の清流を眼下に見晴良し 湯河原温泉多の杉分店  空気清澄召に勝景を誇る 伊豆山温泉ふるや旅館  網代海岸眺望第一 温泉と海水浴に釣魚で誇る保健の地 網代温泉網代温泉ホテル  静かな家族連れに好適 伊豆伊東温泉陽気館   涵水閣 能舞台、娯楽拡大、庭園拡大 修善寺温泉あさば旅館  新築落成、景勝第一の三層楼 熱川温泉大東館  山紫水明の地、南伊豆の仙境 片瀬温泉旅館海浜館  南伊豆の中心地 伊豆下田温泉下田温泉ホテル  金波銀波漂う御保養の新興温泉境 今井浜温泉今井荘   情緒豊かな湧出湯の里!! 下賀茂温泉伊古奈ホテル  新築落成!近来倍々発展する閑雅の仙境 蓮台寺温泉湯端旅館  常春の別天地、野天風呂の野趣 古奈温泉旅館白石館   保健に御清に最適の仙境 長岡温泉さかなや旅館   新体制!!!都会人御静養の保健地 畑毛温泉伊豆の入口富士見館」 
掲載:昭和16年7月 

豆相温泉めぐりの広告
横浜旅行案内所の半年後の広告。基本形は同じであるが、タイトルは豆相温泉に変わっている。また、掲載旅館数も9旅館と減少している。
内容
「銃後の守りは先ず健康から 旅に鍛えよ心と力!! 豆相温泉めぐり(著名温泉旅館御案内)
旅と旅館のことは一切無料 横浜旅行案合所 伊豆箱根及全国温泉案内 横浜市中区長者町五(市電バス停前)
 海原を一目に眺めらる三層楼 熱海温泉本店古屋旅館   藤木川の清流を眼下に見晴良し 湯河原温泉多の杉分店  空気清澄召に勝景を誇る 伊豆山温泉ふるや旅館  伊豆長岡温泉 茶代廃止 さかなや旅館  涵水閣 能舞台、娯楽場拡大、庭園拡大 修善寺温泉あさば旅館  新築落成、景勝第一の三層楼 熱川温泉大東館  新築落成!近来倍々発展する閑雅の仙境 〇唐人お吉の遺物を存す〇温泉大プールあり 蓮台寺温泉湯端旅館    各室数寄屋造 下賀茂温泉伊古奈ホテル」 
掲載:昭和17年1月 

熱海温泉の広告
のんびり温泉旅行をしているような社会情勢ではなく、健康という観点からのこじつけのようにも思える。しかし、旅館側からは死活問題である。名前を見てみると現在まで続いている旅館は半分位か。
内容
「保健に精進銃後の勤め 健康は聖戦完遂の鍵!
熱海温泉 樋口旅館 大野屋旅館 聚楽旅館 富士屋旅館 錦館 大月館 臨海荘 寶金荘 水明荘 後藤病院〜」 
掲載:昭和17年12月 

湯河原温泉の広告
上記と同日の紙面であり、熱海温泉と湯河原温泉の両方がそれぞれ広告を出している。湯河原温泉の方はほとんど現存していない。ところで、コピーで使われている質実快適とは びっくり新語であり、なんとかお客を呼びたいという切実な思いが感じられる。
内容
「質実快適の錬成道場! 生気を保って総進軍へ
湯河原温泉 富杉旅館 若松屋旅館 光陽館 亀屋旅館 遠州屋旅館 生長園 越前家旅館 喜楽館 楽山荘 東屋〜」 
掲載:昭和17年12月 

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