「若櫻」「海軍」の広告

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大東亜戦争も終盤に入った昭和19年5月創刊。陸海軍からの青少年向け軍事啓蒙雑誌の出版要望によって発刊されたもの。用紙確保も軍部が行ったという。
陸軍は「若櫻」、海軍は「海軍」(そのままズバリの名称に抵抗があったようだが)というタイトルで4月29日同時に発行された。勿論、編集は陸海軍直接指導であった。定価はどちらも50銭。発行は大日本雄弁会講談社である。まさに社会は、戦時色一色に染まってきたようである。しかし、子供たちはどちらを買うか迷うだろうし、それぞれの購読者数を見ればどちらが人気なのかは一目瞭然。知りたいものである。陸軍には五芒星の星、海軍には錨のマークと目で見てわかるようにしているのも面白い。どちらも定価50銭。

創刊号の広告
内容は、陸軍省指導、海軍省指導とあるように完全なる御用雑誌である。若櫻は「奮起せよ神州男児、打ち砕け敵の上陸作戦、陸軍の諸学校案内、歴史小説神風」など、海軍は、「青少年諸君へ、大作戦ワシントン大爆撃、海軍志願兵になるには、連載冒険科学小説宇宙戦隊」などが創刊号の記事である。一見して海軍のほうが科学技術的な内容になっているのがわかる。
掲載:昭和19年4月 

創刊号の広告2
創刊月のプッシュ広告で、購買意欲を煽っている。
掲載:昭和19年5月 

創刊号の広告3
同上。出版元の講談社の力の入れ具合が今までと大分違う。陸海軍肝いりなのであろう。こうして軍国少年が育てられていくのである。
掲載:昭和19年5月 

六月号の広告
もちろん、それぞれ陸軍と海軍に特化した内容であるが、特に海軍は志願兵増加を狙った記事が目立つ。
掲載:昭和19年6月 

六月号の広告2
撃ちてし止まむ 決戦必勝魂みなぎる熱誠編集!見よ!神州男児必読の陸海軍の新雑誌!!
掲載:昭和19年6月 

七月号の広告
陸軍省、海軍省の指導による編集であり、軍国少年を育てるための記事のなかに陸海軍の諸学校の解説や志願手続き、試験問題集など、意図が見え見えの内容となっている。定価はそれぞれ50銭。
掲載:昭和19年7月 

九月号の広告
青少年の陸軍雑誌 若櫻 九月号 航空決戦号 〜航空科学 進歩する爆撃機〜
青少年の海軍雑誌 海軍 九月号 征空決戦号 〜航空科学 ロケット機の威力〜
一人でも多くの方で回覧致しましょう 発行所 大日本雄弁会講談社 
掲載:昭和19年9月 

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