大津観音崎間軍道の具体の起終点は不明だが、標石と思われるものが、国道16号線沿いと観音崎公園園路沿いに残っている。まず、走水〜観音崎間が設置され、追って大津〜観音崎間が設置されたものと推測している。従って起点の1番標石が走水と大津の2カ所にあることになる。
観音崎公園内の園路にも残っていることから、砲台を結ぶ軍道にも設置されていたことがわかる。いずれも安山岩の四角柱で、頂部平面に陸軍マークと通し番号が刻まれている。なお、この標石の他に陸軍の「防」の標石もあちこちに残っており、こちらは、花崗岩製が多いがコンクリート製のものもあり、また大きさも様々で、設置年代が異なるものと思われる。
今の国道16号沿については、大津〜走水間と走水〜観音崎と2区間に分けて建設されたため、標石も区間ごとの連番となっている。数字がつながらないものは戦後に移設されたと推測される。傷んでいて番号等確認できないものもある。
公園内園路沿いにかなりの数が残っているが、起終点が不明である。番号から判断すると南門砲台方面から腰越堡塁を経由し、北門方面、また走水方面からのルートもありそうである。
標石自体は公園内で人手が余り入っていないせいか、保存状態は大変良い。しかし、道際に設置されているため、崖際では下に転落したものも相当数あると思われる。
標石の大きさは、抜け落ちているものから判断して、断面が23cm〜26cm角のほぼ正方形で、長さが75cm〜85cmの四角柱である。赤みがかった安山岩ではないかと思う。切通しを抜けるルートなのか堀田口にも1基残っている。