陸軍少年航空兵に捧げる慰霊碑。昭和43年5月、和歌山県出身の生存者によって建立された。碑は立派な基壇の上に建てられた御影石製で、中央に1字「空」とのみ刻まれている。揮毫は戦中に従軍小説家として活躍した山岡荘八。碑の前面に碑文が刻まれた副碑が添えられている。
所在:和歌山県護国神社(和歌山市)
(刻字)
碑正面:「空 山岡荘八謹書」
裏面:「つつしみて この碑を 陸軍航空戦士たちの霊に そしてすべての 陸軍少年航空兵の還らざる 青春に捧ぐ 昭和四拾参年五月 和歌山少飛会」
(碑文)
「若鷲に捧げる言葉
昭和九年(一九三四年)日本陸軍に少年飛行兵の制度が誕生した
至誠 純真 元気 周到の校訓を旨に日夜訓練に励み、操縦通信整備の文科に巣立った若人たちは 祖国の危急を救うため戦乱に身を投じその多くは蒼天の淕に消えていった しかし昭和二十年夏敗戦辛苦に耐えていま日本は画期的な飛躍を続けている けれど私たちはなお あの戦いの日の友たちの紅顔を忘れることはできない なかでもふる里と訣れ雄々しくも散っていった紀州健児を憶う ここにその栄光を永久に称えこころの碑を築いて戦友への限りない挽歌を捧げる
陸軍少年飛行兵 和歌山県出身生存者一同」