東京都戦没者約16万余の鎮魂のための碑である。東京都戦没者霊苑内の参列広場正面の水盤の中に建てられている。高さ約1.59m、門型の白御影石の中に黒御影石で鎮魂と刻まれた石碑である。書は鈴木俊一都知事。「鎮魂」の文字には戦没された方が永遠に安らかな眠りにつかれ、いつまでも世界が平和であるようにとの願いが込められている。
碑の前には、山本健吉氏による碑文が刻まれた黒御影之碑板が置かれている。因みに、山本健吉氏とは、昭和を代表する文芸評論家の一人である。
建立年は不明だが、この施設が完成した昭和35年6月と推測される。
所在:東京都戦没者霊苑(文京区)
(刻字)
碑正面:「鎮魂」
碑文:
「あの苦しい戦いのあと、四十有余年、私たちは身近かに一発の銃声も聞かず、過して来ました。あの日々のことはあたかも一睡の悪夢のように、遠く悲しく谺して来ます。
だが、忘れることができましょうか。かつて東京都の同朋たちの十六萬にも及ぶ人々が、陸に海に空に散華されたことを。あなた方のその悲しい「死」がなかったら、私たちの今日の「生」もないことを。
そして後から生れて来る者たちの「いのち」のさきわいのために、私たちは何時までもあなた方の前に祈り続けることでしょう。
この奥津城どころは、私たちのこの祈りと誓いの場です。同時に、すべての都民の心の憩いの苑でもありましょう。
この慰霊、招魂の丘に、御こころ永遠に安かれと、慈にこれが辞を作る。
山本健吉」