衣笠高角砲台

高角砲台(防空砲台)

 横須賀海軍警備隊 横須賀地区高射隊 第四高角砲大隊 衣笠高角砲台という。 開戦当初の昭和16年12月の軍隊区分に、横須賀防備戦隊防空砲台として衣笠の名があることから早くから設置されていた砲台であることがわかる。(昭和15年官房機密題6287号により設置を指示。内容は、40口径89式12.7糎高角砲3門、サ式4米高角測距儀1基、「ステレオ」式2米高角測距儀1、96式150糎探照燈2基)
昭和20年7月の段階で、12.7糎連装高角砲2基、35粍単装機銃1基、25粍連装機銃3基、13粍単装機銃2基を装備。人員132名。 (横須賀海軍警備隊昭和20年7月31日戦闘詳報による)
しかし、高角砲座は3基残っている。これは、当初、3門の設置計画であったためであるが、途中で武山砲台に設置予定の8糎高角砲4門が一時装備され、その後この砲は武山に移送、最終的に、昭和17年12月、12.7糎連装高角砲2基が設置された。

 手付かずの山中に残されているせいか、他の砲台跡に比して様々な施設が残っている。山頂には、高角砲座3基のほか、指揮所と思われる 建物跡、トーチカ、高射機銃掩体1基、しかし、探照灯座は発見できなかった(地元の方の話では隣の山にあったというが、こちらは畑に なっていて、何も残っていない。しかし、畑中には兵舎もあったとのことである。麓にも兵舎跡と言われる基礎が残っている。)。 山頂南下部の平場には兵舎跡(基礎が残っている他、便所や天水桶などが残る。周囲には土塁が築かれている。)が、軍道の途中には聴音所と思われる建物跡が2箇所。 そのうち南側には、複数の建物跡が残り、四方のレンガ壁が残っているものもある。脇には他の砲台跡と同様の大きな方形の掘り込み跡もある。 また、北側の聴音所らしき施設跡の側には防空壕も残っており、ここが発電施設なのかもしれない。

砲台へ至る軍道

防空壕。内部はT字状で、奥行12m、
T部分は12m。

北側の聴音所跡、基礎のみ残る。

南側聴音所跡。施設の跡が複数残る。

建物残骸。

建物跡脇には地下施設の跡

砲座。武山砲台と同様。

中央の砲を据え付ける穴

指揮所と思われる施設の遺構。
内壁には白色の塗料が残る

壁のみ残る廃墟である

指揮所の左右にある階段

指揮所の裏にあるトーチカ。コンクリート
ではなく石積で構築されている

兵舎の端に残る貯水施設

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