「披露山公園」は、相模湾を見渡す風光明媚な高台にあり、展望台や小動物園もある逗子の観光名所である。
しかし、この公園は海軍横須賀警備隊の防空砲台跡を公園にしたもので、猿舎や花壇、売店などは砲台施設をそのまま活用して造られている。戦争遺跡の活用例としてユニークである。
横須賀海軍警備隊 第三高角砲大隊所属 小坪高角砲台と言い、12.7センチ連装高角砲2基、25ミリ連装機銃2基が設置されていた(横須賀海軍警備隊昭和20年7月31日戦闘詳報による)。この他、96式150糎探照灯2基、「ヱ」式聴音機2基、4米高角測距儀(引渡し兵器目録によるとステレオ式4米半測距儀)なども備え、昭和17年6月27日には主要装備が完了していたらしい。
なお、同詳報によると、昭和20年7月18日の横須賀軍港を襲った空襲の際、同砲台の戦果として敵艦載機を撃破1、撃墜1と記録にある。
地元の人の話では、
売店の場所は指揮所で、裏に弾薬庫があり、売店の前の花壇と猿舎の先の広場には機銃が配置され、駐車場には兵舎が、そして一山先の大崎公園にも小機銃が設置されていたらしい。しかし、昭和21年の航空写真によると花壇の場所は高角砲座で、駐車場にも小さい建物があるが兵舎は北側に見える。また、南の砲座の先、1段低地の場所にも何か施設がある。公園の案内板には戦後砲座が3つと監視所の地下施設が残されたとある。
昭和21年米軍撮影の空中写真
平成26年国土地理院撮影の空中写真
砲座古写真
猿舎。高角砲座がそのまま利用され
ている。
花壇がもう1基の高角砲座跡。奥は
レストハウス。
展望台。円形の基礎跡がわかる。ここ
は砲座ではなく、別の施設と推測。
指揮所の半地下施設の上にレストハ
ウスが建つ。
指揮所裏の謎の構造物。当時のものか
後世か不明だが、何らかの台座である。
砲台への切通し。崖は地下壕の塗込
がある。弾薬庫か発電所か
斜面に残る地下壕跡。これも砲台関係であろう。