<構造>
ワシントン軍縮条約の結果解体されることとなった巡洋戦艦「鞍馬」の第1号、第2号連装副砲を据え付けた砲台。
岬全体が砲台敷地となっており、入口部分に看守衛舎、兵舎、食堂などの居住施設及び砲具庫、油庫などの付属建屋が立ち並び、砲塔は標高80mの先端部北側にほぼ南北に2基が40m間隔で設置された。
他の砲塔砲台では軍艦のように砲塔の下部に砲側庫を設けているが、ここでは真下ではなく背部に地下砲側庫を設けている。発電所は両砲塔の中間後部に設置されていた。
観測所は砲塔の左手前方に築かれ88式海岸射撃具が収納された。
照明所は2カ所あり、1基は先端南側に井戸昇降隠顕式(第二掩灯所)ともう1基は西端にあった。
西端の探照灯は、普段は中央部の掩灯所(第一掩灯所)に格納されており、照明所まで軌道で移動させた。
探照灯の発電所は背部の谷に地下式で設けられた。
北岸には繋船所が造られた。
大房崎には、砲台のほかにも海軍の聴測所や魚雷艇基地、陸軍の戦車壕などがあった軍事岬であった。