<構造>
房総半島で最初に築かれた砲台である。
五稜郭のように周囲に堀を巡らせた5角形の堡塁で、外掘りの水は東京湾から海水を導いている。
堡塁へは背後に設けられた橋から進入する。
28糎榴弾砲の砲座は湾口部に向かって弧を描いてならんでいる。遺構から判断して、6角形の砲座が榴弾砲座であり、左から砲座1基に1門づつ3門、次の砲座には2門、そして次の砲座に1門の計6門であり、変則的な配置である。
砲座は背後の塁道から約180p上がった部分に幅約13m、奥行約10mの六角形で、胸墻は3m程度の石積みの上に50p程度の土堤が築かれている。弾室はない。砲座間の横墻下に砲側弾薬庫が3カ所築かれている。
観測所は砲座の左右にあったとされているが、遺構では左翼しか残っていない。また、保塁の南西に分地観測所があった。
左翼観測所の左手にも掩蔽部がある。
12糎カノン4門の砲座ははっきりしないが、堡塁外や堡塁内の底部は考えにくく、胸墻が低い四角形の第1砲座と最左端の平場ではないかと推測する。