<構造・現状>
島状に突き出た岬(旗山崎)全体が砲台であり、中央部に4門の二十七糎加農砲座が一列に並ぶ。
砲座間及び両端には横墻が築かれ、左端横墻上には方形の観測所が設けられている。
砲座間の左右の横墻上にはそれぞれ小隊長掩壕が設けられ、その地下に砲側弾薬庫がある。小隊長掩壕の下に揚弾口があり、地下弾薬庫から左右の砲座に砲弾を供給する。地下の弾薬庫はフランドル積みレンガ造で砲座に合わせて2部屋づつ設けられている。
また、中央横墻地下には兵員棲息部が設けられている。
岬の周囲は石垣で護岸補強されているが、東南側は埋立てられ漁港になっている。兵舎等が建てられていた砲座背後の平地は公園となっており、砲台への斜路や石段が残されている。
第1砲座、第2砲座前面に、アンカーボルトが4箇所残されているが、これは南門砲台から移設された9p速射カノン4門の跡である。
現在、砲座や掩蔽壕などの遺構はそのまま残されているが、放置された状態である。砲台遺構がまとまって残っており、アクセスも極めて良いので保存活用が望まれる。
追記1:平成28年4月に横須賀が、「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴
〜日本近代化の躍動を体感できるまち〜 」として日本遺産に認定された。その構成文化財の一つとなっており、合せて一般公開に向けた整備が行われ、随時見学会が開催されているが、自由に見学はできない。
追記2:2022年から砲台を含む敷地が旗山崎公園として一般開放され、土日祝日は、砲台の砲座はもちろん、弾薬庫の一部も自由見学が可能となった。猿島砲台や千代ヶ崎砲台と比べて開放的でありがたい。⇒公式HP