茂原海軍航空基地の地下壕。基地から約2q離れた北方の丘陵に構築され、大きく北壕と南壕の2か所に分かれている。
北壕は、直線貫通壕であり、テレビのアンテナのように、一本の横壕に4本の縦壕が交差したシンプルな構造。南壕は、地形に沿った複雑な構造で、複数の部屋状の壕を連結した形状であり、中腹に抜ける抜け穴階段が3本も設けられている。また、3本の横穴壕を並列にならべた小規模壕も存在する。
(北地下壕詳細)
E壕にA〜D壕が垂直に交差する構造。すべて直線壕であり、部屋構造は造られていない。また、なお、A〜D壕は貫通壕である。図面で見てE壕の左手は下り勾配になっている。特にA壕はE壕との交差から急斜面が20mほど続き、その先はゆるい傾斜で100mほど続く。B〜D壕についても、緩い傾斜で下っている。
@両側に排水溝が造られている。
A壕内で唯一水が溜まっている部分
BY字型に枝壕がある
CC壕とE壕の交差部分
D開口部は埋め戻されている
E傾斜が取られ中腹に開口している。
(南地下壕詳細)
北壕と異なり、いくつもの部屋と開口部が巧みに配置された構造である。また、丘陵の中腹への抜け穴壕が3か所、方向を変えて造られているので、山頂部に監視所があったものと推測される。これらのことから、この壕は単なる防空壕ではなく、基地機能の地下化を目指して造られたのものと考えられる。
@最奥部。壁に抜け穴が見える
A中腹への抜け穴。細く急な階段
B開口部にはコンクリート打設の溝が残る
C掘削途中なのか、段差が非常に高い
Dこのような部屋が連続している
E拡幅のためか、壁が抉られている
(小規模壕詳細)
丘陵の東側に造られている。奥で連絡している3本の横穴壕である。@壕は一番大きく、延長15m、幅5m、高さ5mほど。内壁にはコンクリート壁が木釘で貼られていたが、ほとんど剥がれ落ちている。発電機などが設置された機械室のような壕である。A壕B壕は良くある細身の壕であるが、B壕は貯水壕になっている。
@奥壁にはコンクリートが残る
A奥壁。左右の連絡壕が見える
B水深1mほどの貯水壕