重須(おもす)地区は、内浦湾の南岸に接する地域で、長井崎の付け根にあたる。そのため、外洋から目隠しされており。また湾内は波も穏やかなので、基地の立地として申し分のない場所である。
ここには海龍隊の基地が設けられており、4本の海龍格納壕を中心に、燃料庫やウインチ室、居住区、爆薬庫など各種用途の地下壕が築かれていた。
終戦時には16隻の海龍が残されており、第4海龍隊、第5海龍隊のいずれかの本隊があったものと推測される。
現在、地形はかなり変貌している。弁天島が陸続きとなり、前面の海面が埋め立てられ、新たに県道が開通。西浦方面へは長井崎を迂回するルートであったのが、ショートカットのために半島の根元に新たに長井崎トンネル(平成4年竣工)が築かれた。
これらの工事によって、海龍格納壕が1本と斜路が消滅しているが、残りの壕は存在している。
蛇足だが、重須地区は石蔵のある街並みとして有名である。また、寿太郎みかんで知られるミカン栽培地でもあり、みかん直売所が多くある。隣の長浜地区との境には北条水軍の拠点であった長浜城址(国指定史跡)などもあり観光地としても訪れたい場所である。