多比(たび)地区は、江浦地区の東に隣接する地区である。引渡文書によると回天、震洋の格納壕が設けられていたが、実際の格納はなかったようである。
回天格納壕は、東側に3本と西側に2本の計5本、震洋格納壕は3本掘削されていた。そのほか発電機用の壕も2本造られていたようである。
現在、東側の回天格納壕は3本とも現存しているが、1本は崩落が激しい。便宜上、左から1壕、2壕、3壕と称す。発電機壕があった崖はコンクリート擁壁となり場所は特定できない。
回天、震洋格納壕のあたりは、国道改良工事と多比港新護岸化工事のため、当時の崖は一部しか残されておらず、確認できた壕は2本のみである。大きさから回天格納壕と推測しているが、位置的には震洋壕の可能性もある。こちらも左から1壕、2壕と称する。
壕の前には震洋用の斜路と回天用の斜路が設けられていたが、震洋用斜路は護岸工事で埋められ、回天用斜路は周辺をコンクリートで固められて物揚げ場に活用されている。