ここには第57震洋隊の基地が置かれていた。場所は、和歌の浦の南端、下田公園と赤根島に挟まれた小さな入江であり、入江を囲む崖地に震洋艇の格納壕が構築されていた。
記録によると昭和20年7月1日付けで配属、隊長は里屋栄一。士官、搭乗員、基地隊員など総員175名。宿舎は下田の旅館を利用していたようだ。
現在、この入江は下田海中水族館となっている。格納壕などの横穴壕は、引渡文書によれば北東の崖に4本、北の崖に4本、西の崖に4本、赤根島に7本の計19本造られていた。現在も多くが残されており、確認できたところでは、北東に3本、北に4本、西に3本、赤根島は水族館の敷地内にあり未確認である。
しかし、その多くは入口が塞がれたり、廃棄物が詰め込まれたりしている状態である。
(br>
なお、現在、海中水族館へは下田市街から和歌浦トンネルを抜けて直接アクセスできるが、このトンネルは戦後に開削されたもので、当時は東岸沿いの道を通行していたようだ。
また、赤根島への道の途中に素掘りの隧道がある。昭和4年建設の赤根隧道(延長8m)であり、軍とは無関係。